【10月16日 AFP】中国のサトウキビ畑を突っ切って、ミャンマーの古代から存在する森へと続く静かな小道は、あと2か月もすれば違法伐採の材木を積んだ中国の業者のトラックであふれることになるという。

 中国南西部のミャンマー国境地帯の製材の町・弄島(Nongdao)でディーゼルトラックから荷下ろしされた材木は、加工された後、沿岸地域の家具メーカーに出荷され、その後欧米諸国へと輸出されていく。

 「12月から1月には、この道路はミャンマーからの材木を積んだトラックでいっぱいになって、何時間も通行不可能になる」と語るのは、32歳の住民のXiao Zhengongさん。

 人口わずか数百人の弄島の町は、中国を中心とした数十億ドル規模の世界の木材加工産業における木材供給プロセスの一端を担っている。

 毎年、中国のトラックの車列が、ミャンマーの熱帯雨林から数万トンの木材を中国へと輸送していく。中国は希少な木材の世界最大の輸入および加工国。

 「世界で伐採される木材の10本に6本は中国に向かう」と語るのは、国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)中国支部の森林問題専門家Tamara Starkさん。この速度で伐採が進めば遅かれ早かれ、東南アジアから森林は消滅してしまうおそれがあるという。

 10年におよぶ乱伐によりミャンマーの森林は急速に縮小し、中国の雲南(Yunnan)省からやってきた業者は伐採可能な森林を見つけるのにも苦労していると話す。

 「数年前までは、数日歩けば森林を見つけられたが、いまでは、少なくとも1週間は探す必要がある」と近隣の町Ruiliの伐採業者は語る。

 中国が自国内の森林保護に乗り出したため、伐採業者はミャンマーのように腐敗した政権が直接取引に関与している国に進出するようになった。

 近年、環境保護団体の圧力で、中国政府は北部ミャンマーからの木材輸入を禁止する措置をとった。その結果、雲南省の統計によると、木材の輸入量は、今年の上半期だけで前年同期に比べて75%も減ったという。

 木材の取引は、中国とミャンマー双方の当局の腐敗の網の目に絡め取られているという。

 ミャンマー北部のカチン(Kachin)州では、問題はさらに複雑になる。反政府勢力のカチン独立機構(Kachin Independent OrganisationKIO)と、その他の反政府勢力の連合が、事実上の独立国を形成しているためだ。

 中国側では、警察が民間企業に特別の伐採許可を発行し、それが、賄賂の横行と闇市場の拡大を招いている。

 一方、ミャンマー国内では、中国の伐採業者が、ミャンマーの反政府勢力と、腐敗した軍事政権双方に賄賂を渡して伐採を行うという構図が成立している。(c)AFP/Benjamin Morgan