【10月13日 AFP】オーストラリア出身の女優ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett、38)が再び英国女王エリザベス1世を演じる『Elizabeth:The Golden Age(原題)』が12日、全米公開された。

 ブランシェットは1998年にもインド人監督シェーカル・カプール(Shekhar Kapur)による映画『エリザベス(Elizabeth)』でエリザベス1世を主演。その演技で一躍注目を集め、同年のゴールデン・グローブ賞(Golden Globe)ドラマ部門の女優賞を受賞したほか、アカデミー賞(Academy Award)4部門にノミネートされた。

 今ではハリウッド有数の名女優の地位を築き、まさにエリザベス1世を演じるために生まれてきたとも思えるブランシェットだが、再びカプール監督やオーストラリア人俳優仲間のジェフリー・ラッシュ(Geoffrey Rush)らと組んだ映画の公開を前に、「実は緊張している」と語る。

 米カリフォルニア(California)州ビバリーヒルズ(Beverly Hills)でブランシェットは報道陣を前に、自身に国際的女優の地位をもたらした役を再び演じることに、かなりのプレッシャーを感じたと明かした。「同じ役を演じるのは後退するようで嫌なもの。でも、エリザベスを演じることが演技のキャリアアップにつながると確信してからは、自信を持って前向きに演じることができた」

 1998年の『エリザベス』は、エリザベスが女王としての地位を築き上げていく過程に焦点をあてた物語だったが、続編の『Elizabeth:The Golden Age』はイギリスとスペイン間の確執を背景に、英探検家ウォルター・ローリー(Walter Raleigh)卿らとのロマンスが中心となっている。このため、ブランシェットは同じ物語を繰り返し演じているとは感じなかったという。

 一方、2つの映画の共通点は、どちらも史実をかなり自由に脚色しているという点だ。この点についてブランシェットは寛容的だ。「映画は監督の目を通して語られる寓話。(脚色は)現代にも受け入れられる質の高いストーリーを創り上げるためには必要なこと」
 
 ローリー卿を含め、エリザベスは多くの男性崇拝者に囲まれていたという。これについてブランシェットは、「生涯イギリスの地から一歩も離れることのなかったエリザベスは、海外に飛び出していく男性たちの自由さに魅かれたのでは」とみる。

 これまでにもフローラ・ロブスン(Flora Robson)、ベティ・デービス(Bette Davis)、ヘレン・ミレン(Helen Mirren)など、数多くのトップ女優たちがエリザベス1世を演じてきた。「それはエリザベスの生きた時代は英国文化の最も輝かしい時代だったから」と語るブランシェットは、これからもハリウッドではエリザベス1世をテーマにした作品が登場するだろうとうと予想する。

 ブランシェットは2005年、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督の『アビエイター(The Aviator)』でキャサリン・ヘップバーン(Katharine Hepburn)役を演じ、アカデミー助演女優賞を受賞。前月開催された第64回ヴェネチア国際映画祭(64th Venice International Film Festival)では、トッド・ヘインズ(Todd Haynes)監督の『I’m Not There』で60年代の伝説的フォーク歌手ボブ・ディラン(Bob Dylan)を演じ、最優秀女優賞に選ばれている。(c)AFP/Rob Woollard