【10月5日 AFP】(写真追加)今年で17回目を迎えるイグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)の2007年度受賞式が4日、米マサチューセッツ(Massachusetts)州にあるハーバード大学(Harvard University)で行われた。今年は、「バイアグラによってハムスターの時差を解消する」研究や「ウシのふんからバニラ香料を抽出する」研究などが受賞した。

 イグ・ノーベル賞は、ノーベル賞(Nobel Prize)のパロディーで、科学誌「Annals of Improbable Research」によって「最初は笑えるが、その後考えさせる」風変わりな科学的研究に対し贈られる。過去の受賞研究には、プラスチック製のフラミンゴや逃げ回る目覚まし時計などがある。

 本年度は、米英の研究者による「剣呑みの副作用」の研究や、スペインのチームによる「ネズミは逆再生された日本語とオランダ語を区別できるか」についての研究、台湾の研究者が開発した「銀行強盗に網をかける装置」などが受賞した。

 受賞したバルセロナの研究者チームの一員は「まさか受賞できるとは思わなかった。この賞は科学者の内にあるマニアックさを引き出すものだ」と語った。

 名誉あるイグ・ノーベル平和賞には、米空軍の研究機関が選ばれた。同機関は、選考委員が「ゲイ爆弾」と名付けた、敵兵間で性的関心を抱かせる化学兵器の研究を行った。

 日本人研究者、山本麻由(Mayu Yamamoto)さんは「ウシのふんからバニラ香料を抽出する」研究で化学賞を受賞。これを記念して地元の店が山本さんの名前を冠した新フレーバーのアイスクリームを作った。

 そのほかにも、シーツのしわに関する研究や、索引作成時に「the」という単語が頭痛の種となる度合いの研究、底の無いボウルでスープを延々と提供された場合に人はなぜ食べることをやめられないかについての研究などが受賞している。

 今年の受賞者10人のうち7人は、自費で受賞式に参加し、6人の本物のノーベル賞受賞者から賞を授与された。参加者に与えられるスピーチ時間はわずか60秒。8歳の少女が「やめて、もうたくさん」と繰り返し叫んで残り時間を告げるのが、恒例となっている。

 イグ・ノーベル賞は無意味のようにみえる研究を対象にすることもあり、皮肉に満ちた賞を与えることでまともな研究を不当におとしめるとの批判もある。だが多くの研究者は、自らの研究を発表する機会を歓迎しているという。

 受賞者たちは週末、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)で公開講座を行う予定。(c)AFP/Stephanie Schorow