【10月3日 AFP】ロシア国営ガス会社ガスプロム(Gazprom)は2日、未払いになっているガス料金13億ドル(約1500億円)をウクライナ政府が今月中に支払わなければ、同国へのガス供給を削減すると警告した。

 同社は声明で「10月中に未払い分が完済されなければ、ガスプロムはウクライナに対する供給を削減せざるを得なくなる」と述べた。

■ガス供給めぐる摩擦が再燃

 ロシアは2006年1月にもウクライナへのガス供給を一時停止。今回の支払い勧告により、ガス供給をめぐる両国間の摩擦が再燃したといえる。

 前回のガス供給停止時には、欧州各国への供給量が不足し、ロシアのガス供給国としての信頼性も疑われた。

 ガスプロムは当時、ウクライナへのガス供給のみを削減するつもりだったと主張。また、ウクライナが欧州向けの供給分を横取りしたとして同国を非難している。ロシアから欧州各国へのガス供給の80%がウクライナを経由している。
 
 同社は声明で「未払い分の早期支払いを再三申し入れたが、実質的な措置が何も取られていない」と主張している。

■ちらつく政治的意図

 一方、ウクライナでは9月30日に投票日を迎えたウクライナの最高会議(議会)の繰上げ選挙で、「オレンジ革命(Orange Revolution)」の主導者ユリヤ・ティモシェンコ(Yulia Tymoshenko)元首相率いる「ティモシェンコ連合(Yulia Tymoshenko Bloc)」が勝利した。

 ロシア日刊紙「コメルサント(Kommersant)」のウクライナ語版は投票日前夜、選挙で親欧米派政府が誕生した場合、ロシア政府はウクライナに対しガス料金を大幅値上げする可能性があると報道している。匿名の政府高官筋が明らかにしたという。

 Viktor Chernomyrdin駐ウクライナ露大使はAFPに対し、ウクライナ新政府の選択は「同国の内政問題」と述べている。

 ウクライナは現在、ロシアと天然ガス1000立方メータあたりの供給価格を130ドル(約1万5000円)で合意しているが、この合意は2007年末に期限切れを迎える。2006年の95ドル(約1万1000円)から大幅値上げとなったが、ガスプロムは当初230ドル(約2万7000円)を要求していた。(c)AFP