【8月21日 AFP】カナダ・ケベック(Quebec)州のモンテベロ(Montebello)で行われたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領とスティーブン・ハーパー(Stephen Harper)カナダ首相の首脳会談で、北西航路(Northwest Passage)の管理権をめぐる米国とカナダの対立が浮き彫りになった。

 120万平方キロメートルに及ぶ北極の海底には、世界で未発掘の石油と天然ガス埋蔵量の25%が存在すると考えられており、カナダ、ロシア、デンマーク、ノルウェーおよび米国が海底の一部の領有権を主張し、対立を深めている。カナダの主張する大西洋から北極海沿いのカナダの群島地帯を抜け太平洋に至る北西航路の管理権についても、同盟国の米国も含めた関係国すべてが反対している。

 最近、北極の氷が地球温暖化で溶け出し、北西航路周辺の経済活動や航行が容易になったことから、国家間の競争が加速した。ロシアが北極点下の海底に国旗を立て、デンマークもそれに続くと報道されている。

 ハーパー首相の側近は、「(米国大統領との会談で)首相は北西航路についても話し合ったが、それ以上に『北極のカナダ領』に関する各国の声明や、同地域で活発化する行動を議題にした」と語った。

 19日には、元駐カナダ米国大使のポール・セルッチ(Paul Cellucci)氏が、カナダのCTVテレビで「テロとの戦いの時代には、北西航路の管理権はカナダにあると考えることが米国の国益に沿う」と発言し、「カナダの海軍が北西航路を航行する大型船舶の臨検を担当することで、北米に大量破壊兵器を持ち込むことを阻止できる」とカナダの立場に理解を示した。

 しかしこの提案は、現駐カナダ米国大使により米国の政策ではないと即座に否定された。(c)AFP