【8月17日 AFP】南米ペルーの太平洋沖で発生した大地震から一夜明けた16日、被害の集中した南部沿岸の町ピスコ(Pisco)では引き続き、生存者の懸命の捜索が続けられている。

 同町では、18世紀に建てられたサンクレメンテ(San Clemente)教会の丸屋根が崩落し、正面の壁と、2つの鐘楼を残してすべてががれきと化した。地震発生当時、教会内には葬儀のため大勢の参列者がおり、今なお大勢ががれきの下に埋まっているという。

 現場では1人でも多くの生存者を救おうと消防士が徹夜で作業に当たった。だが一夜明け、住民の間から作業の進展の遅さに対するいら立ちの声が出始めた。がれきの下から助けを求める声を耳にした住民は、自ら救出作業に参加。その結果、女性1人を含む6人が無事に救出され、直ちに市内の病院に搬送された。

 ピスコは1640年にスペイン人により建設された町。建設後に地震と津波の被害を受け、1680年に内陸に5キロの現在の位置に移転した経緯がある。

 人口約13万人を抱える同市のフアン・メンドーサ(Juan Mendoza)市長は、「通りには数百の遺体が横たわり、病院にはけが人があふれている。まったく筆舌に尽くしがたい。水も通信手段もない。このような大災害が2度と起きないよう、心から神に祈る」と語った。推定によれば、市の7割が壊滅したという。

 アラン・ガルシア(Alan Garcia)大統領は16日、被災地を訪問し、犠牲者追悼のため3日間を国の服喪の日とすることを宣言。学校や軍の基地、博物館といった公的機関を閉鎖した。

 首都リマ(Lima)にある各国大使館では、ピスコ近郊の観光名所パラカス(Paracas)を訪れた外国人の安否が気遣われている。地震が発生してから、同地への交通は寸断。米国務省の発表によれば、米国人1人の死亡が確認されている。

 これまでに余震は300回以上を数えた。余震は大きいもので、マグニチュード6を観測。生存者や救助作業員の間には、神経過敏や、場合によってはパニック障害といった後遺症がみられ始めている。

 ペルー地球物理学研究所(Geophysical Institute of Peru)の専門家によると、余震はこのあと長くて3週間は続くものとみられる。

 今回ペルー沖合で発生した大地震は、南米を襲った地震としては過去数十年で最大規模となった。(c)AFP/Reynaldo Munoz