【8月14日 AFP】元妻とその友人を殺害した罪に問われ無罪評決を受けたO・J・シンプソン(O.J. Simpson)氏の著書で、出版中止となっていた『If I Did It(もし私がやっていたら)』が出版される可能性が浮上している。出版契約を進めている版権代理人が13日、声明を発表した。

 この著書は、シンプソンが「もしも自分が犯人だったら、元妻のニコール・シンプソン(Nicole Simpson)とその友人ロナルド・ゴールドマン(Ronald Goldman)氏をどのように殺害したか」をまとめたもの。

 版権代理人シャーリーン・マーティン(Sharlene Martin)の広報担当は同日、出版元出版時期についての情報は明かさなかったが、14日にさらに詳細な内容が明らかになると予告した。

 出版元は前回とは別の出版社で、「シンプソンの原稿をそのまま使い、さらに重要な解説を加えた」形になるという。

 同書は当初、2006年にハーパー・コリンズ(HarperCollins)社から出版される予定だったが、全米から批判が殺到したことから同社は出版を差し止め。出版時期に合わせてFox Newsが放映する予定だったインタビュー番組も中止となった。

 シンプソンはこれまで犯行を否定し続け、1995年の裁判に「人種問題」という観点を持ち込んで無罪評決を獲得、全米から痛烈な非難を浴びた。一方、1997年の民事裁判では有罪となり、ゴールドマン氏の遺族に3350万ドル(約40億円)の賠償金支払い命令を受けている。

 ところがシンプソンはこの賠償金の支払いを拒否。これを受け2007年3月、裁判所が賠償金の代わりに『If I Did It』の出版権を遺族に譲渡したため、事件はさらに予想外の展開を見せた。

 シンプソンは刑事裁判で無罪評決を受けているが、米社会では一般的に彼が2人の殺害の実行犯だと信じられている。(c)AFP