【8月8日 AFP】アルツハイマー病の原因物質とされるタンパク質が、緑内障の重要な発症原因でもあるとする研究結果が6日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College LondonUCL)の研究チームは、新しい光技術を使って、アルツハイマー患者の脳に「プラーク」と呼ばれる老人斑を形成するタンパク質「ベータアミロイド」が、眼球最内層組織である網膜の神経細胞が死ぬ原因にもなっていることを突き止めたという。

 緑内障は、前兆なしに徐々に視力が失われてゆく目の病気で、患者は世界中で最大6500万人いる。失明の原因は視神経の損傷。外科手術や投薬治療で失明を遅らせたり、失明の進行を止めることは可能だが、症状の改善は不可能。

 かつては眼圧の上昇が視神経損傷の主因と考えられてきたが、眼圧が正常なまま進行する緑内障もあるため、現在では危険因子のひとつに過ぎないと考えられている。

 ラットを使った実験では、死にかけた網膜細胞がベータアミロイドを蓄積していたことが明らかになった。試験管内の網膜細胞にベータアミロイドを加えたところ、細胞死が誘発された。

 研究チームはまた、アルツハイマー患者の脳でベータアミロイドの蓄積を阻止する働きをする開発中の新薬が、緑内障の発症を遅らせることができることを、動物実験で明らかにした。こうした新薬のうち、Bapineuzumabについては、すでに米国とアイルランドでアルツハイマー病患者を対象とした臨床試験が行われている。

 研究チームではまた、緑内障の治療法においては、このほか2種類の新しいアルツハイマー病治療法を併用した方が、より効果があったとしている。(c)AFP