【8月3日 AFP】ロシア下院議員らによる北極遠征隊は2日、深海潜水艇で北極点の真下、海底約4000メートルに到達し、海底にロシア国旗を立てた。北極点海底への到達は史上初。

 北極海のロモノソフ海嶺(Lomonosov Ridge)には、豊富な天然資源が眠っているといわれており、ロシアは同海嶺を本土の延長上にある大陸棚だと主張している。

  同隊を率いるアルトゥール・チリンガロフ (Artur Chilingarov)下院副議長は国営テレビVestiの取材に対し、「深海潜水艇ミール1(Mir-1)が北極海の海底4261メートルに到達した」と答えた。チリンガロフ下院副議長は極地学者としても著名な人物。

 このほか、遠征隊にはVladimir Gruzdev議員など4人の議員が参加。うち3人は2台目の潜水艇「ミール2(Mir-2)」に乗り込み、海底4302メートルに達した。

 タス通信(ITAR-TASS)の報道によると、遠征隊は高さ約1メートルのロシア国旗を北極点下のロモノソフ海嶺上に設置した。同旗は海中でも腐食しないチタン製だという。

 北極点海底への潜水を前に、チリンガロフ下院副議長は母船の極地観測船「アカデミック・フョードロフ(Akademik Fyodorov)」上で、「北極点海底はロシア大陸棚の最北端の境界だ。よって領海の境界を確定する必要がある」と意欲を表明した。

 一方、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)露外相は同日、フィリピンへ向かう途上で、「われわれの願望に対し、科学的証明が追加されることに期待する」と遠征への期待を表明した。

 サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)にある北極・南極研究所(Arctic and Antarctic Research Institute)では、北極点海底到達の公式な確認は、2台の潜水艇が母船へ帰還してからになるとしている。

 地球温暖化により、北極圏の氷河がより広範囲で溶解し、同圏内での調査研究や経済活動が以前よりも容易になりつつあり、北極点に対する国際的関心は高まりつつある。(c)AFP/Conor Humphries