【7月28日 AFP】映画監督のスティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)氏が、ダルフール(Darfur)紛争に関わるスーダン政府を支援する中国の姿勢が変わらなければ、2008年に開催される北京五輪の芸術顧問を辞任する可能性が出てきた。米ABCテレビが27日、伝えた。

 ABCのウェブサイトに掲載された記事によると、スピルバーグ氏のスポークスマンAndy Spahn氏は、「われわれの主な関心は、大量虐殺を終わらせることだ。そのために最良の方法は何か、誰も明確には理解していない」と述べた上で、スピルバーグ氏が辞任を含むすべての選択肢を検討中だと語っている。

「北京五輪の特別顧問の一人であるスティーブンは、中国がこの問題に取り組むためのきっかけとして五輪を活用しようとしている。今はまさに、そのための対話を進めている最中だ」

 また、Spahn氏によると、同監督は中国での仕事に関し、数週間以内に結論を出すという。中国政府は数日後にスーダンに関する声明を発表する見通しで、この声明がスピルバーグ氏の最終決定を左右するとみられている。

 スピルバーグ氏は今年初め、国連児童基金(UNICEF)親善大使を務める女優のミア・ファロー(Mia Farrow)氏から、この件に関して非難を受けていた。ファロー氏は、ダルフール紛争におけるスーダン政府へ経済支援を行う中国を糾弾している。

 ファロー氏は息子と共に、ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙に「ナチスのホロコーストの生存者の証言を記録するため1994年にショア基金(Shoah Foundation)を創設したスピルバーグ氏は、中国がダルフール大量虐殺に資金を供与していることを認識しているのだろうか」とのコメントを掲載。さらに、「スピルバーグ氏は『北京五輪のレニ・リーフェンシュタール(Leni Riefenstahl)』として歴史に名を残したいのか」と述べ、同氏が1936年にベルリン五輪の記録映画を撮影した映画監督の現代版になりかねないと警告している。

 リーフェンシュタールは、撮影したベルリン五輪の記録映画『オリンピア(Olympia)』がナチスのプロパガンダ映画として利用されたことから、ナチスの協力者として非難された。

 この記事掲載のあと、スピルバーグ氏は中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席に、スーダン政策の変更を求める公開書簡を送った。

 ABCテレビによると、スピルバーグ氏はダルフールで支援活動を行う団体に100万ドル(約1億2000万円)の資金援助を行っているという。北京五輪の開会式の企画には、無償で協力している。(c)AFP