【7月16日 AFP】15日、米ポップ歌手の異端児プリンス(Prince)のニューアルバム『プラネット・アース~地球の神秘~(Planet Earth)』約300万枚が、音楽業界から抗議の声が上がる中、英日曜紙メール・オン・サンデー(The Mail on Sunday)の付録として無料で配布された。

 『パープル・レイン(Purple Rain)』、『Kiss』、『サイン・オブ・ザ・タイムズ(Sign 'O' the Times)』、『Raspberry Beret』などのヒット曲で知られるプリンスの10トラックが収録されているこのCDは、総計で約25万ポンド(約6210万円)の価値があると報じられている。

 このアルバムは英国で7月24日に発売予定であるが、プリンスが行うコンサート21公演のうち、8月と9月のO2アリーナ(O2 arena)での公演に参加するファンにも同アルバムを無料で配布するとしている。

 CDを無料配布する理由についてプリンスは「これはダイレクトに販売するということで、たくさんの騒動を抱えているレコード業界の思惑に参加しなくていい」と話している。

 同紙の編集者のピーター・ライト氏(Peter Wright)はBBCラジオ(BBC Radio)で15日、プリンスにCD制作、プレス、広告のライセンス料は支払ったと話した。

 また、ライト氏は結果として売り上げや広告収入が上がることを期待しているとも話す。

 メール・オン・サンデー紙は、親会社のDaily Mail and General Trustのウェブサイトによると、約227万部を発刊している。

 英国小売業者協会であるERA(The Entertainment Retailers Association)のポール・クワーク会長は前月「プリンスのキャリアをサポートしてきた全てのレコードショップに対する侮辱である」と話し「付録文化」を激しく非難した。

 「以前プリンスとして知られていたアーティストは、このような行為ですぐに”以前レコードショップで手に入れることのできたアーティスト”になることがわかるだろう」とも揶揄している。

 またクワーク会長は、毎週200万人以上の人が音楽を購入しており、売り上げは年間160万ポンド(約3億9750万円)にも及ぶが、レコードショップはインターネットで音楽をダウンロードする人の増加のプレッシャーにさらされているとも話している。(c)AFP