【7月6日 AFP】「女性は男性よりもおしゃべり」との通説をくつがえす米科学者らによる研究結果が、5日付けの米科学誌「サイエンス(Science)」上で発表された。

 研究を行ったのはアリゾナ大学(University of Arizona)とテキサス大学(University of Texas)の科学者らによる合同研究チーム。

 小説や歌、映画などでは古くから「おしゃべりな女に寡黙な男」が当たり前のように描かれてきた。

 人気カントリー歌手トビー・キース(Toby Keith)のヒットソング『I wanna talk about me』も、「頼むから1分間だけ、黙って俺にしゃべらせてくれ」と恋人に懇願する内容の歌詞だ。

 しかし、研究を主導したアリゾナ大学心理学部のMathias Mehl助教授によれば「女性が男性よりも話し好きだという根拠は発見できなかった」という。

「女性はおしゃべり」との古くからの通説に科学的なお墨付きを与えたのが2006年発表の「The Female Brain(女性脳)」だ。著者はカリフォルニア大学(University of California)の神経科学者Louann Brizendine氏。同書は、1日にしゃべる語数は女性が2万語、男性は7000語で、会話における男女差は存在すると指摘する。

 この統計に疑問を投げかける学者も少なからずあったが、「女性は1日に男性の3倍もしゃべる」との説はメディアで高い関心を集めた。

 今回の研究を行ったMehl助教授もこの説に注目し、事実と虚構を明確に区別するべく研究に乗り出した。

 Mehl助教授が主導する研究チームは、米国およびメキシコの大学生ら約400人を対象に、実際の会話を体系的に録音し検証を行った。

 その結果、女性の1日当たりの使用語数は平均1万6215語、男性は1万5669語で大きな差は見られなかった。「女性の方がおしゃべり」との通説は、統計学的には「根拠がない」ということになる。

「ただし、おしゃべりの内容にも男女差がないわけではない」とMehl助教授らは付け加える。

 同教授らによれば、女性は知り合いや芸能人など「人間」についてのおしゃべりを好む一方、男性は車や機器などについての話題を好む傾向がみられたという。(c)AFP