【6月19日 AFP】中国南部、広西(Guangxi)省の洞穴で、ジャイアントパンダと同属で最も古い種の約200万年前と推定される頭骨の化石が発見された。18日、研究結果が発表された。

 化石は数年前に発見されたもので、保存状態はよく、ジャイアントパンダの頭骨の特徴をすべて有している。だが、大きさはジャイアントパンダの頭骨の半分程度で、そのことから、ジャイアントパンダの祖先はおそらくジャイアントパンダよりも小さく、少なくとも全長で60センチほど短い中型犬程度の大きさだったと推定される。

 今回の発見は、ジャイアントパンダ類の化石発見記録の空隙を埋め、「ジャイアントパンダの起源は数百万年前にさかのぼる」「進化の過程に少なくとも2つの異なる種が存在した」という、研究者の間で長く信じられてきた仮説を裏付けるものとなった。

 アイオワ大学(University of Iowa)の古脊椎動物学者で、研究結果をまとめた論文の共同著者であるRussell Ciochon教授は、「ジャイアントパンダ種はクマ科の中で他の種と分かれ、数百万年かけて進化した」と説明する。

 これまで、中国南西部、山岳地帯固有種のジャイアントパンダは、50万年前に生息した大型のクマ科の同族種、学名Ailuropoda baconiの子孫と考えられていた。

 300万年ほど前に同国の東部と南部の森林に生息していた別のジャイアントパンダ類の子孫ではないかと考えられる手掛かりがいくつかあったが、決定的な証拠となる化石が発見されていなかった。1985年から2000年にかけて見つかったのは数本の歯のみだったため、今回の頭骨化石の発見で、ようやくその決定的証拠が得られたといえるだろう。

 頭骨化石は、厚いエナメル質の歯、頑丈な頭骨といったジャイアントパンダと解剖学的に同じ特徴を持っていることから、ジャイアントパンダ類は進化の非常に早い段階から竹を主食にしていたと考えられるという。

 研究論文は米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。(c)AFP