【6月17日 AFP】国連(United NationsUN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は16日付け米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙への寄稿のなかで、ダルフール(Darfur)紛争での殺りくについて、世界的な気候変動が大きな原因となったとの考えを示し、同様の紛争が今後も起こる可能性を指摘した。

 潘事務総長は記事の中で、「ダルフールの紛争は、気候変動をそのひとつの要因とする生態学的危機がきっかけとなって始まった」と述べた。インド洋の温度上昇が季節風に影響を与え、過去20年間で降水量が40%程度減少したとする国連の調査に触れ、「これはサハラ以南の乾燥化の原因の1つが人的要因による地球温暖化であることを示唆している」という。

「ダルフールでの紛争が乾季に発生したことは決して偶然ではない」と説く。

 潘事務総長によると、ダルフールの土地がまだ豊かだったころ、農業に従事する現地の黒人らは、アラブ系の遊牧民を歓迎し、水を共有していたが、干ばつが深刻化すると農地の周りに柵をめぐらせて放牧を防ぐようになったという。「有史以来初めて、食べ物と水が全住民に回らなくなったことで、紛争が始まった」

 国連の平和維持軍により紛争が停止し、200万人以上の避難民が村に戻って家を立て直すことができるようになることに期待を示す一方で、「肥えた土地が足りないという本質的問題はどうしたらよいだろう」と問題を提起した。

 潘事務総長は、「根本的なダルフール問題の解決策は、持続する経済発展」だとの見方を示し、具体的には新技術を活用した遺伝子組み換え作物の栽培やかんがいを進める一方、医療、教育や衛生状態の向上に取り組むことが重要だと述べた。

 このような問題を抱える国はスーダンだけではなく、ソマリア、コートジボワール、ブルキナファソなど「食糧と水の不安定な」アフリカ国家だと指摘している。

 スーダン政府は前週、合計2万3000人規模の国連平和維持部隊とアフリカ連合(African UnionAU)部隊の受け入れに合意した。同国では過去4年間の紛争で20万人以上が死亡している。(c)AFP