【6月15日 AFP】いわゆる従軍慰安婦問題をめぐり、日本の国会議員らが14日付のワシントン・ポスト(Washington Post)紙に、「第2次世界大戦中に日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す歴史文書は存在しない」と訴える全面広告を出した。

 「事実(THE FACTS)」と題された同広告は、「米国民と真実を共有する」ことを目的に掲載されたもので、「歴史学者や研究機関の調査では、女性が意に反して、日本軍によって売春を強要されたことを示す文書は発見されていない。慰安婦は、『性奴隷』ではなく、当時の世界では一般的だった公娼(こうしょう)制度(政府による売春管理制度)のもとで行われていた」としている。さらに「慰安婦の女性の多くは、将官よりも多くの収入を得ていた」と付け加える。

 一方、同広告は「規律の乱れ」が存在したことも認め、「実際に起こったことに対する批判は、謙虚に受け入れるべき」としているが、「根拠のない誹謗中傷に対する謝罪は、社会に歴史的事実に対する誤った認識を持たせるだけでなく、日米間の友好関係にも悪影響を及ぼしかねない」と指摘する。

 同広告には、自由民主党(Liberal Democratic PartyLPD)議員29人、民主党(Democratic Party of JapanDPJ)議員13人、無所属議員2人のほか、教授、ジャーナリスト、政治評論家が名を連ねている。

 従軍慰安婦問題をめぐっては、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が3月に「第2次世界大戦中に旧日本軍がアジア各国で強制的に女性を連行した証拠はない」と語り、物議をかもしている。同首相はその後、従軍慰安婦問題について謝罪した1993年の「河野内閣官房長官談話」を継承する立場を強調。4月後半の訪米時には、元慰安婦の女性らに対し「心から同情する」と語った。(c)AFP