【6月13日 AFP】クリーニング店にズボンをなくされたとして裁判官が店を相手取り5400万ドル(約66億円)の損害賠償を求めた訴訟で12日、審理が開かれた。裁判所関係者が明らかにした。

 訴えを起したロイ・ピアソン(Roy Pearson)さんは、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の裁判官。韓国系移民チャンさん一家が経営するクリーニング店「Custom Cleaners」に青と赤のストライプが入ったグレーのズボンを出したところ、同店がズボンを紛失。店の看板にある「満足保証」との文言に欺かれたと主張している。

 米テレビ局ABCのニュースによると、ピアソンさんは同店がコロンビア地区消費者保護法(District of Columbia consumer protection laws)に違反するとして、5400万ドル(約66億円)の損害賠償を求めた。この請求額は、同店が「満足保証」の看板を掲げていた日数に、1日1500ドル(約18万円)を掛けて算出した。

 ピアソンさんは、チャン夫妻とその息子を別々に提訴。消費者保護法違反に加え、心理的ダメージへの賠償と訴訟費用も併せて請求している。なお、訴訟手続きはピアソンさん自身が行った。

 チャン夫妻はABCニュースのインタービューで、年収の2倍の弁護士費用を払ったと述べた。

 ABCの報道によれば、ピアソンさんは訴状で、チャン一家の店でズボンをなくされたのはこれが2度目だと記している。

 裁判所の広報がAFPに語ったところでは、ピアソンさんはチャン一家のクリーニング店の顧客を含む、地元住民を証人として出廷させた。ワシントン・ポスト(Washington Post)紙の法廷ブログ記者の記事によれば、このうち89歳の退役軍人は、以前同じクリーニング店でズボンを台無しにされたと証言した。ピアソンさんは証言台に立ち、自身のつらい離婚経験や金銭トラブルについて、涙ながらに語ったという。

 弁護側のクリストファー・マニング(Christopher Manning)弁護士は、「アメリカ人の裁判好きもここまできたか」と述べたと、ブログは伝えている。審理は13日に結審の見込み。(c)AFP