【6月13日 AFP】長い間失われていたカンボジアの仏像274体を収蔵する博物館が11月、アンコール遺跡の近くにオープンする。日本の保護プロジェクト責任者が12日、発表した。

 仏像は日本率いる調査団が2001年にアンコールワット(Angkor Wat)から約6キロの地点で発見した。調査団長の石沢良昭(Yoshiaki Ishizawa)・上智大学長によると、カンボジア前国王の名を取ってノロドム・シアヌーク(Preah Norodom Sihanouk)博物館と名付けられた2階建の新しい博物館で、11月から展示される。

 石沢氏は 「仏像展示により、博物館がアンコールワットに欠けているものを補う存在になってくれればと思います」と話す。

 仏像は11世紀から13世紀にかけて作られたもので、中には高さ1.2メートルのものもある。寺院が崩壊し地中に埋まっていたと見られ、発掘の際は、「カンボジア人のメンバーはちょっと感情が高ぶり、興奮で手が震えていました
」と石沢氏は振り返る。

 博物館はアンコールワットから約1キロの場所にあり、展示フロアは1820平方メートル。カンボジアに寄贈され、同国で運営に当たる。「大切なのは、カンボジアの人たちがこのような国家財産を自分たちの手で保全し、自国の文化遺産として誇りにすることです」と石沢氏。いずれ増設して図書館を設置し、カンボジア研究者のための奨学金も創設したい意向だという。

 博物館は、大手スーパー、イオン(Aeon)からの1億3000万円の寄付によって実現した。(c)AFP