【6月10日 AFP】インターネットと携帯電話の掲示板はTwitterのうわさでもちきりだ。Twitterとは、俳句風の短文で日常の行動を逐一友人と共有できる人気急上昇中のサイトだ。Twitterにユーザーが書き込むのはただ一つ。「今何してるの?」という質問への答えだ。140文字以内で書き込まなければならない。

 「お湯を沸かしてるよ」とか「犬の散歩中」など実に他愛もないメッセージの洪水が、利用者のEメール、インスタントメッセージ、そして「public timeline」と呼ばれるTwitter.com の掲示板に押し寄せる。

 「典型的な反応は、誰がお湯を沸かそうが知ったことか、これは世界一無意味なサイトだ、というものです」とTwitterの創業者で最高経営責任者(CEO)のJack Dorsey氏はAFPに語る。

 「しかし、私たち同士をつなげるのは、こういった日常の取るに足りないことなのです。誰もがこういった行動をしているにもかかわらず、普通はそれについてあえて話すことはありません。取るに足りないことだと思われているからです。しかし、ささいに思えることが、本当はとても重要なのです」

 Twitterを運営するのは、Dorsey氏がサンフランシスコに設立した従業員10人の新興企業Obviousだ。Twitterのウェブサイトはインスタントメッセージのソフトウェアを使って、twitters(Twitterに登録したユーザーをこう呼ぶ)が電報のように簡潔なメッセージを書き込むたび、即座にpublic timelineを更新し、今、誰が何をしているのか常に表示する。

 ほんの数秒間だけpublic timelineの一番上に表示されるという栄誉を得るが、すぐに次のメッセージによって下に押しやられる。このサイクルが永遠に続くのだ。

 twittersが友人の行動をインターネット上で追跡することができるだけでなく、たまたまサイトに立ち寄った人や「追っかけ」の人もある特定の人物の行動を知ることができる。

 public timelineが更新されるのを見ているだけの人もいると語るのはTwitter の設計者、Biz Stone氏(31)。

 Stone氏は、 カリフォルニア(California)で地下鉄に乗りこもうとしていた矢先に友人からカリフォルニアの地震についてのメッセージを受け取ったとき、コミュニケーションの未来としてのTwitterのビジョンを明確に意識したと語る。

 「その瞬間、Twitterが持つ意味、現代の時代精神(zeitgeist)が分かったような気がしました」とStone氏。

 Twitterへのインスピレーションは、人員を迅速にある場所から別の場所へ移動させる必要がある宅配便や緊急サービス向けのソフトウェアを開発していたDorsey氏の経験から生まれた。

 Twitterの技術は新しいものではない、とカリフォルニア大学バークレー校(University of California Berkeley)の情報学教授、Coye Cheshire氏は話す。

 Cheshire教授は、新しい点は 「ウィジェット(widgets)」と呼ばれるソフトウェアを使い、利用者がインターネットを通じて世界中でTwitterのメッセージを送受信することが可能だという点だと語った。

 2006年3月に始まったTwitterはユーザー数を公表していない。調査会社Hitwiseは、Twitterを訪れた人の数は2007年3月17日までの1週間だけで55%増加したとの報告を出した。

 Twitterは他のアプリケーションと組み合わせて新しい機能を作ることもできる。例えば、Twitterの掲示板をGoogle Mapsに重ねたTwittervisionでは、世界の人々が今何をしているのか地図上に表示させることができる。

 さらには、人気のあるtwittersを追っかける「twitter中毒(Twitterholic)」というサイトさえ存在する。(c)AFP/Kara Andrade