【6月10日 AFP】英国国教会は10日、暴力的なビデオゲームに無断で教会建物の映像を使用したとして、ソニーに対し謝罪と商品の販売停止を求めた。適切な処置が取られない場合は、法的手段も辞さないという。

 敵方との銃撃戦で大勢が死亡するシーンが登場するプレイステーション3(PS3)用ゲームソフト「レジスタンス-人類没落の日- (Resistance: Fall of Man)」の背景に、マンチェスター大聖堂(Manchester Cathedral) の映像を無許可で使用したとして、英国国教会は11日、ソニーに対して謝罪とゲームの販売停止を求める書面を提出するという。同ソフトはすでに、100万本以上販売されている。

 Nigel McCullochマンチェスター大司教は9日、英国放送協会(BBC)の番組で以下のように述べた。

「マンチェスター(Manchester)が銃犯罪の問題を抱えていることはよく知られている。ソニーのような世界企業が、この歴史ある大聖堂を本物そっくりに再現し、その建物の中で銃撃戦をさせるなどということは信じがたく、また非常に無責任なことだ」

「われわれは銃犯罪の現実や、それがわれわれの生活に及ぼす破壊的な影響を身をもって知っている。ささいな問題とは言えない」

 大司教はまた、暴力ゲームの舞台に教会施設を用いるのは「非常に不適切で屈辱的だ」との見解を示した。

 英国北西部にある同国3番目の都市、マンチェスターにある同大聖堂では、銃犯罪犠牲者のための追悼式が行われている。

 BBCの番組ではソニー・コンピュータエンタテインメント・ヨーロッパ(Sony Computer Entertainment Europe)の声明も発表され、その中でソニー側は「われわれはマンチェスター大司教の懸念を認識しており、深刻に受け止めている」と述べた。その上で「ゲームの制作に当たって必要な許可はすべて得ているが、11日にも大聖堂の責任者に連絡を取って詳細を確認する」とした。ソニー側は、ゲームはSFの設定で、敵は人間ではなく異星人だと主張している。

 自身の息子をマンチェスターで殺害された、ボランティア団体「Mothers Against Violence」メンバーのPatsy McKieさんは、BBCとスカイニューズ・テレビ(Sky News)に対して「暴力的なゲームの制作会社と対決すべき時が来た」との見解を示し、スカイニューズ・テレビに対し「息子を失った母として、『単なるゲームだ』とは言えない」と述べた。(c)AFP/Lachlan Carmichael