【ワシントンD.C. 1日 AFP】米国政治の中心地であるワシントンD.C.で、政界の重鎮たちを相手に高級デートクラブを運営していた通称「DCマダム(DC Madam)」は、現在、売春容疑のため起訴されている。

 DCマダムことデボラ・ジーン・パルフリー(Deborah Jeane Palfrey)被告は前日、顧客の1人の政府高官が辞任したことについて「申し訳ないと思う」と話すものの、一方で、検察側が起訴を取り下げない限り「これからも、実名多数を暴露することになる」と発言した。

■「起訴を取り下げなければ、実名をすべて公表」

 1時間あたり300ドル(約3万6000円)という高級売春クラブを13年間にわたり経営していた容疑で起訴されているパルフリー被告は30日、予備審問のため法廷に姿を現した。

 審問の席でパルフリー被告は、自分が運営するクラブ『パメラ・マーチン・アンド・アソーシエイツ(Pamela Martin & Associates)』は、「違法な営業は行っていない」と主張する。

 同時に、「数千人の顧客リストの中には、政府高官らが多数含まれている」ことを示唆。起訴が取り下げられない場合には、総重量にして約20キロにもおよぶこの顧客リストを公表するという。

 「必要とあれば、全ての顧客名を公表する。自分を守るために、この顧客リストから証人リストを作成し、申請することもありえる」と語った。

■「米国政界は面目を失う」

 「場合によっては、米国政界の少なからぬ政府高官が面目を失うことになるかもしれない」とパルフリー被告が語るように、このクラブの顧客であった政府高官がすでに辞任をしている。

 ABCニュースによれば、4月27日、米国際開発局(USAID)のランダル・トバイアス(Randall Tobias)局長に対して「顧客だった事実があるか」を確認したところ、局長はその直後に辞任したという。辞任は「個人的理由」であると表明している。

 これについてパルフリー被告は予備審問後の記者会見で、トバイアス氏が顧客の1人だったことを認め、「トバイアス氏とその家族、友人に対して大変申し訳なく思う」と謝罪の意を述べた。

■「性的ファンタジーの提供」は売春行為ではない
 
 このクラブの顧客情報についてパルフリー被告は、「全力で守秘義務の守ってきたが、司法取引の申し出を検察側が全て拒絶したため、自身の立場を守るためにリストを公開せざるをえなくなった」と説明。

 また指摘されている違法性については、このクラブが顧客に提供するのは「性的ファンタジー」あり、売春行為ではない、電話帳に満載されているような売春クラブとは一線を画していると主張。クラブで働く女性たちが違法な売春行為に及んでいたとすれば、それは彼女たちの「個人契約」であり自分の管轄外のことだと「DCマダム」は、あくまで強気に発言した。
 
 写真はワシントンD.C.で30日、予備審問後の記者会見に臨むパルフリー被告。(c)AFP/Getty Images Mark Wilson