【東京 18日 AFP】久間章生防衛相が18日、伊藤一長長崎市長の銃撃事件により「対立候補が利益を得る」という趣旨の発言をして物議をかもしている。

■「共産党の候補者が当選することになる」

 伊藤市長は今週末の長崎市長選に向けた選挙期間中の17日、暴力団幹部に銃撃され、翌18日未明に収容先の病院で死亡した。同市長選へは、共産党の候補者1人と無所属の候補者2人も立候補しているが、無所属の伊藤市長は政党を超えて幅広い支持を集めていた。

 久間防衛相は、同市長の死亡が確認される前に「銃撃によって共産党の候補者が当選することとなる」などと発言していた。

 この発言について塩崎恭久官房長官は、「好ましいものとは思わない」と述べ不適切との認識を示した。

 一方、野党側からも防衛相の発言をめぐり批判が噴出している。

 日本共産党志位和夫委員長は、「多くの人が市長の回復を祈っていた時点で、亡くなったことを前提に発言することは不謹慎」と久間防衛相の発言を批判。最大野党民主党小沢一郎代表は、「暴力で自分の思いを遂げようという風潮を、われわれは党派とかいう問題ではなく憂いて考えないといけない」と指摘した。

■米政府のイラク進攻めぐる判断は「間違い」

 久間防衛相は今年初頭、「イラク進攻を決定した米政府の判断は間違い」と語り、「航空自衛隊のイラク駐留は自動的には延長されない可能性もある」と警告して物議をかもしていた。なお日本政府は3月、航空自衛隊のイラク駐留を2年間延長することを閣議決定している。

 2月に来日したディック・チェイニー(Dick Cheney)米副大統領は、久間防衛相とは会談を行わなかった。

 写真は、千葉県の陸上自衛隊習志野演習場で行われた「訓練始め」を視察する久間防衛相(2007年1月7日撮影)。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA