【ダブリン/アイルランド 30日 AFP】ロックバンドU2のボーカルでアイルランド出身のボノ(Bono)が29日、在ダブリン英国大使館で行なわれた記念式典で、ナイトの称号を授与された。同英国大使館が伝えた。

 貧困撲滅を訴え続けるボノ(本名:Paul Hewson)が受勲したのは、名誉大英勲章第2位(Knight Commander of the Most Excellent Order of the British Empire、KBE)。David Reddaway駐アイルランド大使は、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の代理でバッジを授与し、ボノの音楽業界への貢献と人道活動を称えた。

 この称号は政府の助言により女王が授与する栄典である。

■世界の問題に取り組むボノ

 Reddaway大使は声明で述べた。「貧困撲滅に取り組み、アフリカの現状、エイズ(HIV/AIDS)問題、第三世界の債務問題などに世界の目を向けさせたボノ氏の、たぐいまれで献身的な活動が評価されての授与となった」

 「各国政府や国際組織などに働きかけ、第三世界が抱える債務の帳消しを求める運動で、ボノ氏は中心的な役割を果たしてきた」

 「英国民である我々は特に、2005年、英国がG8および欧州連合(EU)の議長国としての役割を果たした際のボノ氏の協力に深く感謝している」

 同大使はまた、ボノの音楽業界への貢献にも賛辞を贈った。

 「U2は、最も成功したバンドの1つというだけでなく、チャリティコンサートなどを通じて、正義に基づく活動への支援を広げる活動も行なってきた」

■ボノが喜びのコメント

 受勲にあたり、ボノは同大使に向け「故郷でこの賞を授与される」ことに感謝し、バンドメンバーにも感謝の意を表した。

 「英国から賞をいただけるなんて、一アイルランド人にとっては最高の年ですね」

 「北アイルランドに関する和平プロセスは前進し、英国でスタートした債務帳消しにより2000万人のアフリカの子どもたちが学校へ通えるようになり、ハッピー・マンデーズ(Happy Mondays、80年代~90年代に活躍したダンスミュージック・グループ)は再結成し、クローク・パーク(Croke Park)で行なわれた英国国歌が流れるラグビーの試合で、アイルランドがイングランドを負かした。これ以上の誇りはないですね」

 ナイトの称号は、英連邦加盟国ではない国の人々にも授与される。しかし、その場合には「サー」の敬称は用いられない。

 写真は、スイスのダボス(Davos)で開催された世界経済フォーラム(World Economic Forum)で、アフリカのエイズ問題に取り組むため「レッド・ラベル(Red Label)」立ち上げを発表するボノ(2006年1月26日撮影)。(c)AFP/PIERRE VERDY