【ニューヨーク/米国 29日 AFP】「スパゲティが木に生える」と紹介するテレビ番組や「左利き用ハンバーガー」の広告で知られるエープリルフール(April Fool’s Day)恒例のマスコミ報道には、風変わりで素晴らしい歴史がある。

 サンディエゴ(San Diego)にある「ウソの歴史博物館(Museum of Hoaxes)」が「知名度、ばからしさ、だまされた人数」を基準に審査した「成功した過去のいたずらベスト10」は次のとおりだ。

・第1位
1957年、英国放送協会(BBC)が「暖冬と害虫駆除のおかげで、スイスではスパゲティが大豊作」との番組を放送した。木からスパゲティの束を収穫する農業従事者の映像が流され、自宅でスパゲティを栽培したいと考えた大勢の視聴者から問い合わせの電話が殺到した。

・第2位 
1985年、「スポーツ・イラストレーテッド(Sports Illustrated)」誌が「時速270キロの球を投げる期待の新人、Finch投手がニューヨーク・メッツ(New York Mets)に入団する」と伝えた。同誌は「Finch投手はチベットの僧院で誰よりも速い球を投げる技を磨いた」と報じ、メッツファンの祝賀気分はつかの間に終わった。

・第3位 
1962年、スウェーデンにはテレビ局が1つしか存在せず、白黒放送を行っていた。ある日同局の技術者がニュースに登場し「最新技術が開発されたため、現在家庭にあるテレビの画面にナイロン製のストッキングをかぶせると、カラー映像を受信できる」と発表した。同国内で実際にカラー放送が始まったのは1970年だった。

・第4位 
1996年、ファストフード大手のタコベル(Taco Bell)が「フィラデルフィア(Philadelphia)にある米国独立の象徴、自由の鐘(Liberty Bell)を連邦政府から買い取り、『Taco Liberty Bell』に改名する」と発表した。この情報がいたずらだと公表される前、激怒した市民らが抗議の電話をかけた。自由の鐘の売買について質問を受けたホワイトハウス(White House)のMike McCurry報道官は、「ワシントンD.C.のリンカーン記念堂(Lincoln Memorial)も売却され、自動車大手の名前にちなんで『フォード・リンカーン・マーキュリー記念堂』に改名される予定」と応じている。

・第5位 
1977年、英紙「ガーディアン(The Guardian)」が「インド洋に浮かぶ小さな共和国、San Serriffeの10周年記念」に関する特別記事を7ページにわたって掲載した。同紙は「San Serriffeは複数のセミコロン型の島で成り立つ」と説明し、「Upper Caisse」「Lower Caisse」という名称の島の地理や文化に関する説明文を掲載した。

・第6位 
1992年、ナショナル・パブリック・ラジオ(National Public Radio)が「リチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領が『悪いことはしていない。二度と繰り返さない』とのスローガンを掲げ再度大統領選に出馬する」と伝えた。ニクソン元大統領が出馬表明する音声まで流され、リスナーは怒り心頭で局に電話をかけた。この音声は後に、物まね芸人、Rich Littleさんのものと判明している。

・第7位
1998年、「New Mexicans for Science and Reason」と題するニュースレターが「アラバマ(Alabama)州では投票によって、円周率が3.14159から『聖書に従い』3.0に変更された」と伝えた。

・第8位 
1998年、ファストフード大手のバーガーキング(Burger King)がUSAトゥデイ(USA Today)紙の全面広告で、「左利きの米国民3200万人のために考案されたハンバーガー、『Left-Handed Whopper』」の販売開始を発表した。このハンバーガーについて広告では、「従来のハンバーガーと原料は同じだが、香辛料の位置が180度変わっている」と紹介された。バーガーキングによれば、従来の「右利き用」同様に「左利き用」ハンバーガーの注文も殺到したという。

・第9位 
1995年、「Discover Magazine」が「権威ある生物学者、Aprile Pazzo氏(イタリア語で「エープリルフール」の意)が南極(Antarctica)で新種の生物を発見した」と伝えた。生物名は「hotheaded naked ice borer(「熱い頭をもつ裸の氷穴開け機」の意)」。この新種について同誌は「頭の骨板の温度が上昇し、高速で氷に穴を開けることが可能。これを利用してペンギンを捕獲する」と説明した。

・第10位 
1976年、著名な英国人天文学者、Patrick Moore氏がラジオ番組に出演し「午前9時47分、一生に一度の天文現象が発生する。冥王星が木星の後ろを通過し、地球上の重力が減少する」と述べた。同氏はリスナーに「冥王星と木星がすれ違う瞬間にジャンプすれば浮遊感を味わうことができる」と語り、大勢のリスナーから「浮遊感を感じた」との電話が殺到した。

 写真は、上野動物園で開催されたエープリルフールの記念行事に臨むコウテイペンギン(2005年4月1日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO