【石川 27日 AFP】能登半島地震発生から2日目を迎えた被災地、輪島市(Wajima)では、27日現在も多くの住民が避難生活を余儀なくされ、被災者の心身の健康状態が懸念される。頻発する強い余震の影響で復旧作業にも遅れが目立つ。

 本州の日本海沿岸に位置する輪島市がマグニチュード6.9の地震に襲われたのは25日。この地震により1人が死亡、200人以上が負傷している。地震によって木造住宅の倒壊や地滑りが発生し、交通状態もまひしている。湾岸道路が損傷を受けたため、巡視船が70人の住民を海で救助する場面も見られた。市の大部分では、いまも水道水の供給がストップしたままとなっている。市内では同日以来、250回の余震が記録され、2000人近くの住民が避難所で寝泊まりしている。

 海で救助された元漁業従事者の男性(82)は現在、門前西小学校の寒い体育館で避難生活を送っている。この男性は取材に対し「ストレスで疲れきっている。極度の緊張と心配で寝付くことができず、昨晩は睡眠薬を飲んだ。

 高血圧なので心配だ」とため息まじりに語る。同小学校では、約300人の住民が避難生活を送っている。

 ボランティアや、地震の被害を免れた住民らによる炊き出しが実施され、被災者らにはおにぎりとみそ汁が配られてい
る。多くの被災者は長引く避難生活で時間を持て余し、新聞を読んだり、横になったり、近くの者同士で延々と会話を交わす姿も見られるが、疲労の色は隠せない。自宅が深刻な被害を受けた女性(82)は地震発生時、なんとか外に逃げ出し無事だったが「精神的に疲れている。今後どうなるのか考えずにはいられない。帰宅して以前のような楽しい生活を送りたいが、通常の生活に戻るのにどれくらいかかるのか分からない。何か月もかかるかもしれないし、1年先になるかもしれない」と語る。

 被災者の多くが高齢者であるため、地域の保健当局は、インフルエンザを始めとする伝染病に対する予防措置の必要性を強調し「避難生活が長引くほど、問題は深刻になる」と述べる。同当局は「同時に、精神面のケアについても考慮する必要がある」と言う。

■27日にマグニチュード3.9の余震が発生

 27日にはマグニチュード3.9の余震も発生し、半壊した住宅への影響が懸念される。復旧作業にあたる建築業者や住民らは余震のたびに作業の中断を迫られ、いらだちを募らせる。地元の小学校で以前校長を務めた男性は「強い余震のたびに外に避難しなければならず、自宅の片付けに集中できない。大変いらだっている」と語る。

 当局の発表によると600以上の建物が損傷し、全壊した建物は57にのぼるという。損傷を受けた建物の多くは木造で重い瓦屋根の住居が多く、余震による倒壊の危険性が指摘されている。

 日本は4つの構造プレートの接合点に位置し、世界最大規模の地震のうち約20%が日本で発生している。1995年1月に神戸(Kobe)を襲ったマグニチュード7.3の地震では6437人が死亡している。

 写真は27日、輪島市門前の避難所で健康状態のチェックを受ける高齢の女性。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI