【ワシントンD.C. 22日 AFP】ハーバード大学公衆衛生学部(Harvard School of Public Health)は21日、「心疾患による死亡率が最も高い職業は消防士」との研究結果を発表した。

■勤務中に死亡した消防士の死因トップは「冠状動脈性心臓病」

 同研究によると、消防士にとって最も危険なのは「気道熱傷や火傷」と考えられがちだが、死因のトップを占めるのは冠状動脈性心臓病(coronary heart disease、CHD)という。過去10年間、勤務中に死亡した消防士の死因の45%が心血管系疾患。他の職業における同じ要因での死亡率は、警察官が22%、緊急医療従事者11%、その他の職業で15%という結果が出ている。

 調査対象とされたのは、1994年から2004年の間に勤務中に死亡した米国内の全消防士。ただし、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センタービル(World Trade Center)で発生したテロによる犠牲者は対象から除外されている。同期間中、勤務中に死亡した消防士は1144人で、うち39%の死因をCHDが占めるという。

■CHDによる死亡は消火活動時に多発

 今回の研究を率いたStefanos Kales氏は、「われわれは、CHDによる死亡率が、消火活動時、出動警報への対応時、出動からの帰還時および特定の身体的訓練参加時に大きく上昇するという決定的な証拠を得た」と語る。

 またKales氏は、「消防士が現場で消火活動にあたるのは勤務時間の1%から5%にすぎないが、CHDに起因する死亡の32%が消火活動時に発生している」と述べ、「消火活動時にCHDにより死亡する確率は、緊急以外の業務遂行時の10~100倍」と指摘する。

 消火活動時に死亡率が上昇する原因について研究者らは、「CHDの危険性を抱える消防士が激しい運動を行うため」との仮説を立ており、2005年に公表された「70%以上の消防署が健康管理プログラムを有していない」という調査結果を引用し、「多くの消防士は太り過ぎで、適切な健康管理を実施していない」との警告を発した。

■過去の研究結果

 一方、過去の研究には「先進国で心疾患により死亡するのは一般人の約3分の1で、この割合は防士の場合も同様」と主張するものもあるが、ハーバード大学の報告書では、「これらの研究結果は確定的ではない」としている。

 ハーバード大学公衆衛生学部の研究は、心疾患のリスクを計るために消防士が従事する特定の任務に着目したもので、医療雑誌「New England Journal of Medicine」の3月22日号に掲載される。

 写真は、カリフォルニア州の工業団地で発生した火災で消火活動を行うサンバーナーディーノ(San Bernardino)消防署の消防士(2006年11月6日撮影)。(c)AFP