【アンカレッジ/米国 4日 AFP】アンカレッジ(Anchorage)で3日、毎年恒例の犬ぞりレース、第35回「Last Great Race」が始まった。沿道には数万人の観客が集まり、お祭り気分に包まれた町には、犬およそ1000匹の鳴き声がこだました。

■波瀾(はらん)万丈の20日間

 今回は82チームが参加しているが、毎年、完走できるのは半数程度。全長1800キロのレースは、通常9日から20日間の長旅となる。切り立った山脈や荒涼としたツンドラ地帯、マイナス40度を下回るような寒風吹きすさぶ沿岸地帯を越えて、参加チームはゴール地点のノーム(Noam)を目指す。

 レースの最中、犬の爪が割れたり、ねんざしたり、ヘラジカの攻撃に遭うこともしばしばだ。また、ある時には頭上に輝くオーロラの下で、疲労と寒さから幻覚を見ることもある。あるものは再びレースに戻り、また、あるものはやむなく途中で棄権する。

 初日の3日は、そりにつながれた犬たちも興奮に身を震わせ、雪の感触を求めて飛び跳ねていた。開催式では犬ぞりが一列に並べられ、観客たちは7500ドルを払って、数マイルの犬ぞりレースを体験することができる。本番のレースは4日、Willowでスタートする。

■ルートは人々の命を守った「伝説の道」

 犬ぞりレースのコースは、鉄道や飛行機ではたどり着くことのできないノームの人々を伝染病から守るため、1925年に20人のドライバーと100匹の犬ぞり犬がジフテリア血清を運んだ道。ゴールドラッシュ時代に使用されたこの道は、アラスカの犬ぞりの歴史を記念する壮大な冒険として、1973年に復活した。

 写真はアンカレッジで4日、第1チェックポイントのEagle Riverへ向かって駆け抜ける犬ぞり。(c)AFP/Jim WATSON

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