【北京/中国 9日 AFP】8日再開された北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、北朝鮮は「米国次第」で核放棄の意思があることを改めて表明した。

 初日の協議に先立ち、北朝鮮代表の金桂冠(キム・ゲグァン、Kim Kye-Gwan)外務次官は、援助と引き換えに同国の核放棄を明記した2005年9月の共同声明履行に向け、「わが国には初期段階の措置を協議する用意がある。ただし、米国がわが国に対する敵対政策を捨て、互いに平和的に共存することが前提だ」と話した。

「合意すべき多くの問題が残っている。(核放棄は)これらの問題をどのように解決するかにかかっている。結果はじきに分かるだろう」

 2005年9月の6か国協議で採択された共同声明は、エネルギー支援や安全保障などを条件に、北朝鮮に核開発の放棄を求めたもの。米国がマネーロンダリングに関与した疑いがあるとして北朝鮮の銀行口座に制裁を科したことに北朝鮮側が反発、採択から2か月で有名無実化していた。

 初日の協議を終え、北京市内のホテルに戻った米首席代表のクリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補は、「すばらしい協議だった」「よい初日を送ることができた」などと述べ、今回新たに合意文書を採択し、2005年の共同声明の履行にこぎつけることができるだろうとの見方を示した。

「合意文書案の作成を目指し、(議長国の)中国が熱心に働きかけている。今夜中は無理としても、明日の午前中には正式な書面として代表団に配られるだろう」
「われわれは何らかの合意文書を作成したいと考えている。無事合意に至れば、2005年の声明内容の履行に向けた大きな第一歩となる」
「皆がはっきりした政治的意思を持って、前進している」

 共同通信は2日、関係者の話として、中国が合意文書案の詳細を記した文書を関係各国に提示したと報じていた。

 制裁に関する見解にはまだ隔たりがあるものの、金外務次官と前月ベルリンで直接協議を行ったヒル国務次官補は、今回の協議で手詰まり状況を打開できると見込んでいる。

 写真は8日、6か国協議の開会式で話す中国首席代表の武大偉(Wu Dawei)外務次官(左)とロシア代表のセルゲイ・ラゾフ(Sergei Razov)駐中国大使。(c)AFP/MICHAEL REYNOLDS