【東京 6日 AFP】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議が8日に中国・北京で再開される。これを受けて麻生太郎外相は6日、北朝鮮の核放棄への見返り案としての経済支援について、拉致問題に明確な進展がみられない限り、即時実施を拒否する方針を明らかにした。

■6か国協議の焦点は、北朝鮮へのエネルギー・経済支援となる見込み

 6か国協議の事前調整のため来日中の米主席代表・クリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補との会談を前に麻生外相は、「(再開協議で)エネルギー、食糧、ならびに経済支援の各国負担が決定したとしても、即時支援を行う予定はない。日本には解決すべき問題がまだある」と明言。

 6か国協議・中国主席代表の武大偉(Wu Dawei)外務次官も、今回の協議の焦点は、北朝鮮へのエネルギー・経済支援になるとの見方を示している。

 5日に武次官と北京で会談した自民党・野田毅議員によれば、武次官は「(再開協議は)3日間で終了する」と述べ、「焦点は北への支援になると語った」とされる。

■ヒル次官補は「具体的な行動」の必要性を示唆

 麻生発言について、ヒル次官補は具体的なコメントは控えたものの、「2005年9月の6か国協議共同声明では、日本も経済支援を約束している」と指摘した。

 同次官補は8日からの再開協議について「進展を期待」と前向きな姿勢を示しており、「いかなる決定がなされるにしても、協議後数週間で具体的な行動が求められるはずだと」も語っている。

 朝日新聞の3日の報道によれば、北朝鮮は米国に対し、寧辺(Yongbyon)にある原子炉停止の見返りとして、年間50万トン原油供給を求めていると見られる。

 同様の見返り案は、日韓も資金を提供した1994年の米朝枠組み合意(ジュネーブ合意)にも盛り込まれていた。しかしこの合意は、2005年、北朝鮮の核保有宣言により頓挫した。

 再開協議は、北朝鮮代表の8日の到着を待ち、翌9日から実質的な話し合いが開始される。

 写真は6日、6か国協議事前調整のため来日中のヒル次官補と、日本主席代表を務める外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI