【パリ/フランス 2日 AFP】国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)」が2日、報告書を発表。大気中に放出される温室効果ガスの深刻な影響を警告し、20世紀に起きた「地球温暖化」は90%の確率で「人間が原因で起こった」と断定した。

■海水面上昇、ハリケーンの頻発…予測される自然災害

 報告書は100を超える国から2500人あまりの科学者が集まり、共同で徹底調査したもの。

 同報告書によると、2100年までに地球の表面温度は1.8度から4度に上昇し、海水面が18センチから59センチまで上昇。海水面が上昇すれば北極や南極大陸は縮小し、21世紀末には「北極の短い夏」は完全に消滅しているだろうと警告する。

 また今後の数十年間に、暴風雨、熱波、豪雨の頻度が増す可能性も高い。「温帯性低気圧」の最大風力や雨量がさらに増し、2005年にニューオーリンズ(New Orleans)を襲ったカトリーナ以上の規模のハリケーンが増える恐れがあるという。

■根菜的な対策が急がれる

 また、大気中の温室効果ガスの影響で、過去1000年間での気候の変化以上に急激で、深刻な異常気象をもたらす恐れがあるという。報告書は政治家らに対処政策を迫る。

 現在、発効する環境国際条約は、先進国の二酸化炭素の排出量削減を定めた「京都議定書」のみ。米国は同議定書への批准を拒否している。

 IPCC次回定例会合は、12月にインドネシアのバリ(Bali)島で開催予定。
 
 写真は、アイスランドのVatnajokull氷河の脇を通過する船舶(2006年7月13日撮影)。(c)AFP/ MARCEL MOCHET