【ロンドン/英国 29日 AFP】インド人女優シルパ・シェティ(Shilpa Shetty)に対する差別発言が問題となり、世界から注目を集めていたチャンネル・4(Channel 4)のリアリティ番組「Celebrity Big Brother」が28日、シェティの勝利で幕を閉じた。

 出場者を数週間にわたり隔離した部屋で共同生活させ、その一部始終を放映する「Big Brother」のセレブ版である同番組は、英国の有名人も多数参加し、高視聴率を収めていた。出場者および視聴者の投票で、毎週1人ずつ脱落者を決定し、最後の1人が優勝の栄光に輝く。

 シェティは最後まで残った6人の中で、視聴者からの投票で63パーセントの指示を得て優勝。「まるでジェットコースターみたいだったわ。良いことも悪いこともすべてが私に何かを教えてくれた」シェティは優勝後、チャンネル・4のインタビューで同番組を振り返った。

 問題になった発言の中で、シェティは「犬」と呼ばれ、「掘っ立て小屋」に住んでいるのか、と言われたという。これを受けインドでは、同番組プロデューサーの肖像を燃やすなどの過激な抗議行動が行なわれた。騒動が最高潮に達すると、イギリスの弁護士らは番組を非難し、インド政府関係者らは、英国政府に対し番組の調査を依頼した。

 この騒動は、時期首相と目されているゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英財務相の目前に迫ったインド訪問にも影を落とした。

 出場者は全員、脱落するまで世間とは隔離されて生活するため、シェティがこの騒動を知ったのは、優勝後のインタビュー時だった。「もうそのことは忘れたい。でも、起こってしまったことは仕方ないわ。人は間違いを犯すこともあるから」とシェティは語った。

 番組のプロデューサーらは出演者を探す際、シェティに他の参加者よりも多額の出演料を支払ったと伝えられている。その額は35万ポンド(約8300万円)にも上るのではないかとされる。ボリウッドのスターであるシェティを番組に迎えることにより、南アジア出身の視聴者を獲得しようという狙いがあったためだ。

 最後まで残った6人の中にはシェティのほかに、元ジャクソン・ファイブ(Jackson Five)のジャーメイン・ジャクソン(Jermaine Jackson)、英国のロックバンド、ステップス(Steps)のイアン・ワトキンス(Ian Watkins)、2006年11月にミス英国のタイトルを剥奪されたタレントのダニエル・ロイド (Danielle Lloyd)、1983年に放映されたアクション・コメディ「The A-Team」で有名な俳優ダーク・ベネディクト(Dirk Benedict)らがいた。差別発言の中心人物とされるTVタレント、ジェイド・グッディ(Jade Goody)は前週、この問題が明らかになった数日後、82パーセントという視聴者から票を投じられ、脱落していた。しかし、シェティはグッディを弁護するコメントを残している。「彼女の言葉は人種差別を意味するものではなかったわ。確かよ。彼女は人種差別主義者ではないわ」

 グッディはこの騒動のあと、自分のキャリアを取り戻したいところだが、厳しい困難に直面しそうだ。この事件について警察当局がグッディに面会を申し入れたと27日に報じられた。一般人が参加する通常の「Big Brother」で一躍有名になったグッディは、脱落後にテレビ・インタヴューに登場し、曇ってしまったイメージを払拭しようと、涙ながらに謝罪の言葉を述べた。

 インド入国のビザを申請したグッディに対し、インドは、公的なゲストとして迎え入れることは出来ないが、一般の旅行者と同様の入国なら問題ないと伝えた。一方、ロンドンのインド観光局はグッディに対し、「現在の仕事が一段落着いたら、インドの癒しを体験できるように」と、インドへ招待している。

 写真は番組最終日となった28日、優勝を受けて喜びを見せるシェティ。(c)AFP/LEON NEAL