【リオデジャネイロ/ブラジル 19日 AFP】22日から、07年春夏パリオートクチュールコレクションがスタートする。それに次いで、2月から3月にかけては、NY、ロンドン、マドリッド、ミラノ、パリ、東京と世界各国で07/08年秋冬プレタポルテコレクションが開催される。

 コレクションを控えた各国では、昨年から続く‘痩せすぎモデル問題’に対する様々な動向がみられる。マドリード(Madrid)ではコレクション出場モデルに体重制限が設けられ、イタリアでもブラジル人モデルのアナ・カロリナ・レストン(Ana Carolina Reston)さんの死をきっかけガイドラインを制定した。では、1月14日からファッションウィークが開催されている、ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)では、どのような取り組みが行われているのだろうか。

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 拒食症?それともただ痩せているだけ?―昨年11月ブラジル人モデルのアナ・カロリナ・レストンさんが拒食症で死亡してから約2ヶ月の時が経過した。彼女の祖国ブラジルでは、ファッション業界が中心となって‘拒食症防止キャンペーン’が実施されている。しかしこれは、現在増加している摂食障害についてファッション業界に責任を擦り付けるということではない。


■インタビュー:エロイサ・サロマオ(Eloysa Salomao)、リオ・ファッションウィーク責任者

 「今回のキャンペーンは、ファッション業界だけを対象としたものではありません。社会全体に対するものです。ファッションショーは、社会を映し出す鏡ですからね。ランウェイを歩くモデル達が痩せているのは、社会が女性に対してよりスリムでほっそりとした姿を求めているからです。社会が変われば、それに追随してファッションショーも変化するはずです。」

 リオでは、14日から6日間にわたりにリオ・ファッションウィーク(Rio Fashion Week)が開催されている。今回は、16歳以下のモデルは出場禁止となり、18歳以下のモデルは診断書提出が必須条件となった。一連の問題に対して注目が集まっているのに対して、医者は「痩せている人物が必ずしも拒食症というわけでは無い」と主張する。


■インタビュー:ホアナ・デ・ヴィルヘナ・ノヴァエス(Joana de Vilhena Novaes)、精神分析医

 「栄養状態が通常よりもはるかに悪い人物に対して、周囲はそれを病気だとみなすでしょう。しかし、BMI値(肥満度指数)が平均を下回る人物が、必ずしも拒食症だという訳ではありません。」

 昔モデルとして活躍していたルイーザ・ポンテス(Luisa Pontes)は、モデル時代、体重増加を恐れるあまり拒食症に陥ってしまったという。現在、拒食症を乗り越えた彼女は、クリティカルな視点を持つファッション・ジャーナリストとして活躍している。


■インタビュー:ルイーザ・ポンテス、元モデル/ファッション・ジャーナリスト

 「私だけが特別なケースではありません。私は、同様の問題で苦しむ多くの女性を知っています。拒食症に対して特別な免疫を持っている人なんて、いないんです。ブラジルには、モデルという職業に憧れる少女たちが沢山います。そして彼女たちは、体重が46キロしかないことが美の証となると思いこんでいるのです。誰に責任があるのでしょうか。そして犠牲者は誰なのでしょうか。この問題に対して、メディアとファッション業界は責任があると思います。」

 ファッションとは現実社会を映し出す鏡である。そして、モデルを夢見る少女たちは、その危険な誘惑に惑わされてしまう。‘痩せすぎモデル問題’は当分終わりそうにない。(c)AFP
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