【ブリュッセル/ベルギー 12日】安倍晋三首相は12日、ブリュッセル(Brussels)の北大西洋条約機構(NATO)本部を訪れ、最高決定機関である同理事会(the North Atlantic Council、NAC)で日本の首相として初めて演説した。

■国際援助の拡大に向けた意志を表明

 演説のなかで安倍首相は「日本とNATOは平和構築、復興支援、災害救助など多岐にわたり知識、経験を共有できる関係にある」と述べ、NATOとの連携強化の意志を示した。また、日本とNATO間で定期会議の開催を提案した。

 先の「防衛省」発足により、災害支援に限られていた自衛隊の海外活動範囲が拡大。イラクやアフガニスタンで展開する多国籍軍の後方支援も可能となった。日本政府は、37か国が参加するアフガニスタン駐留NATO軍へ給油支援を申し出ている。

 このほか、安倍首相は、ヤープ・デホープスヘッフェル(Jaap de Hoop Scheffer)NATO事務総長とも会談し、「アフガニスタンの安定は日本や世界にとって非常に重要」と述べ、同事務総長が提唱する「アフガニスタン国際連絡グループ」への参加意思を表明した。

■NATOは非加盟国との連携強化をはかる

 今回の安倍首相のNATO本部訪問は、2006年11月のNATO首脳会議で非加盟国との連携強化の方針が打ち出されたことが背景にある。同会議では、特に日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国との連携強化が協議された。

 一方、これら4か国を「グローバル・パートナー」と見なすという米国の提案は、フランスなどの反対により却下された。

 現在、欧米26か国が加盟するNATOは、地球規模の安保協力機構として拡大の道を進むのか、それとも欧米間の安全保障同盟として現状のにとどまるのかをめぐり、加盟国の間で論争が続いている。

 写真は12日、NATO理事会に出席する安倍首相(左)とデホープスヘッフェル事務総長(右)。(c)AFP/JACQUES COLLET