【パリ/フランス 10日 AFP】このほど発表された研究報告によると、紅茶にミルクを入れて飲んだ場合、その健康効果が損なわれることが明らかになった。

■ミルクを入れない紅茶の方が動脈が広がる

 ミルクティー好きの英国人にとってはショッキングなこの事実を判明させた研究を行ったのは、ベルリンにあるCharite病院の研究者チーム。

 同チームは、50歳以上の健康な女性16人のボランティア被験者を対象に実験を実施。被験者の腕に超音波探触子をつけて、数種類の温かい飲み物を0.5リットル飲んだときの動脈反応を測定した。

 その結果、被験者らがミルクを入れないダージリンティーを飲んだときのほうが、ミルクティーやお湯を飲んだときよりも動脈が広がっていることが分かった。

 研究者チームの一人であるVerena Stangl博士は、ミルクに含まれるタンパク質の一種「カゼイン」が原因となり、紅茶の持つ健康効果が阻害されるのだと指摘している。3種のカゼインが、茶類に含まれるポリフェノールの一種である「カテキン」に付着するのだという。

 この場合のミルクティーとは、全体量の10%に相当する脱脂粉乳を入れたもの。実験室でラットを対象に同じテストを行った際も、同様の結果が得られたという。この研究報告はオンラインの医療専門誌『European Heart Journal』に掲載された。

■英国人に心臓疾患が減らないのは、紅茶にミルクを入れているから?

 紅茶に含まれるポリフェノールと呼ばれる成分には動脈硬化の予防効果があることから、紅茶を飲むのは健康に役立つとされている。

 紅茶好きで知られる英国人の間で心臓血管疾患の患者が減らない理由は、大抵の場合、紅茶にミルクを加えて飲むためだということが、この研究から判明した。

 なお、この研究では、ミルクは入れずに飲む緑茶を対象とする実験は実施されなかった。

 写真はロンドンの首相官邸で、紅茶を飲むトニー・ブレア(Tony Blair)英首相(2006年6月6日撮影)。(c)AFP/WPA