【東京 3日 AFP】このほど日本で初めてとなるフィリピン人介護士の研修生を、介護支援施設が受け入れた。フィリピンから来日した人々が高いハードルを越えて日本の介護施設で働き始めたことで、日本社会は閉鎖的な労働雇用状況に対して、新たな一歩を踏み出すことになだろう。

■政府は将来的に最大1000人までの受け入れを約束
 
 今後、日本で本格的にフィリピン人看護師、介護士を受け入れる前段階として、今回、Maria Falquezさん(25)、Olivia Pinedaさん(30)ら15人が、国内数か所の介護支援施設に受け入れられた。

 この受け入れ協定は、2004年9月、小泉純一郎前首相とグロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)フィリピン大統領が討議を行った結果、日比経済連携協定の一環として結ばれたもの。2006年に、将来的にはフィリピンから看護師と介護士を、最大1000人まで受け入れることで合意した。

 フィリピンでは全人口の10分の1を海外労働者が占め、その送金が経済の主柱となっており、この介護士の受け入れもフィリピン政府に強い要請により実施された。

 世界中どの国でも、移民政策の変更は物議を醸すものだが、日本も例外ではない。アジア最大の先進国である日本は、外国人労働者の受け入れに消極的なことで知られる。ところが日本政府は前例を破り、同協定によりフィリピン人看護師、介護士の受け入れるこにとなった。

■人口減少が受け入れ緩和の要因のひとつ

 2005年に人口減少化が始まった日本において、介護業界は大幅な労働力不足に直面している。政府当局は、フィリピン人介護士受け入れについて「政治的にデリケートな問題がいくつかある」としながらも、こうした問題が背景にあると指摘している。
 
 受け入れ対象となるフィリピン人介護士は、日本語の習得が必須とされている。さらに、フィリピン国内ですでに法的認定を受けていたとしても、日本の国家資格を取得することも義務づけられている。

 今回受け入れられた15人は、2年後には日本の国家資格を得て、再入国できる労働ビザを取得することを望んでいるという。

 Pinedaさんは、「同じ職場の人も、高齢者の患者も皆、親切です。私たちに日本の習慣を教えてくれます。日本の介護施設でこれからも働き続けたいと思います」と語っている。「Falquezaさんもこれに同意して、「日本で安定した仕事に就き、貯金をして、若者らしい生活を楽しみたいですね」と付け加えた。
 
 写真は東京郊外の介護施設で2006年12月25日、高齢者の介護をするマニラ出身のフィリピン人介護士Maria Falquezaさん(右)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI