【ジャカルタ/インドネシア 2日 AFP】1日午後にスラウェシ(Sulawesi)島西部で消息不明になったインドネシアの航空会社アダム・エア(Adam Air)の旅客機ボーイング(Boeing)737型機が墜落、多数の犠牲者が出ていることが、軍当局と目撃者の話により明らかになった。

■墜落現場はスラウェシ島の山岳地帯、原因は悪天候か

 民間のラジオ放送局エルシンタ(ElShinta)が2日、国軍高官の談話として報じたところによると、事故機がスラウェシ島の山岳地帯に墜落したことが航空写真で判明した。また、事故現場付近の住民の目撃証言によれば、これまで90人近くの死者が発見されたと伝えられている。

 墜落したのは、1日午後12時59分(現地時間)にジャワ(Java)島スラバヤ(Surabaya)発、スラウェシ島マナド(Manado)行きの航空機。離陸から約1時間後に遭難信号を発し、その後、管制塔のレーダーから消えて消息不明となっていた。事故機には、子ども11人を含む96人の乗客、および乗員6人が乗っていた。

 スラバヤ空港の責任者は、離陸の際、同機に技術的問題はなかったとしている。

 空輸局(Air Transport Department)のMohammad Iksan Tatang局長は、「事故当時の状況については、現時点では不明だ」とした上で、悪天候が原因である可能性を指摘している。ジャワ島北西部地域は、前週から強風を伴った暴風雨に見舞われていた。この暴風雨のため、2006年12月29日には、乗客600人を乗せたフェリーボートがジャワ島沖合で沈没している。

■低価格競争にしのぎを削る業界、安全確保に問題点も

 インドネシアでは、飛行機事故が起きるのは珍しいことではない。同国にある公営および民営の航空会社の多くが、その機体の安全性に問題があるとされているほか、これまでも便の遅延や管理不備などの事態が繰り返し起きていた。

 民営航空会社のアダム・エアは、2003年に就航を開始。主に国内便を扱っているが、シンガポールとマレーシアのペナン(Penang)島行きの国際便も運航している。低価格航空運賃を売り物にしつつ、営業戦略として高級感のある「ブティックエアライン」のイメージを掲げることで、従来の航空会社や他の格安航空会社との差別化を図り、競争の激しい国内航空業界の中で業績を伸ばしている。

 同社のAdam Suherman社長は11月に、「予測される利用客の増加に対応するため、2007年には10機を追加購入し、運航サービスの強化を図る。今後は手つかず状態だった国内市場の開発に専念する」と発表した。アダム・エア社ホームページによると、同社は2006年1月の時点でボーイング737型機19機を所有していた。2007年には、2006年から700万人増の1100万人の利用客を見込んでいる。

 地図は、アダム・エアの旅客機の航跡と墜落地点を示したもの。赤でマークされているところが、墜落地点。(c)AFP

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