【9月17日 AFP】国連(UN)は16日、シリアの首都ダマスカス(Damascus)近郊で8月21日にサリンガスを搭載したロケット弾が使用された明白な証拠があるとする報告書を発表した。報告書はまた、それ以前にもシリア内戦で化学兵器が大規模に使用されていたとも断定している。

 潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長は、同日開かれた国連安全保障理事会(UN Security Council)で、国連調査団により「シリアで化学兵器が使用されたことがはっきりと、客観的に確認された」と述べ、「これは戦争犯罪だ」と断じた。そして国連安保理に対し、シリアの化学兵器を来年中に廃棄するという米国とロシアの計画をバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)・シリア大統領が遂行できなかった場合は、しかるべき措置を講じるよう呼び掛けた。

 潘氏はまた、8月21日にダマスカス郊外のグータ(Ghouta)で行われた化学兵器攻撃について、1998年にイラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領(当時)がハラブジャ(Halabja)で数千人を殺害した攻撃以来、最大規模の化学兵器攻撃となったと述べた。一方で、誰が化学兵器を使用したかについては言及しなかった。

 アサド政権は反体制側が化学兵器を使用したと主張しているが、米英仏はそろって、今回の国連報告書が「政権側の化学兵器使用を示している」と主張している。

 米国のサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使は、122ミリのロケット弾が使われたことに触れ、これは政府軍のみが所有する兵器だと指摘した。また、フランスのローラン・ファビウス(Laurent Fabius)外相は、化学兵器を使用したのは政権側であることは「疑いの余地がない」と断言した。(c)AFP