【7月15日 AFP】シリア中部ホムス(Homs)県にある世界遺産の要塞「クラック・デ・シュバリエ(Crac des Chevaliers)」から黒煙が立ち上る映像が12日、動画共有サイト「ユーチューブ(Youtube)」上に投稿された。

 ホムスはシリアの内戦で政府軍と反体制派の激戦地となっており、反体制派が投稿したこの画像によれば、クラック・デ・シュバリエは政府軍の空爆を受けたとみられる。画像からは、少なくとも1回の空爆があり、要塞の塔の1つが破壊されたことが分かる。要塞の内部を映した別の動画も投稿されており、空爆で天井に大きな穴が開くなど大きな被害が出ている様子がうかがえる。

 反体制派のシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によるとこの空爆は、反体制派がクラック・デ・シュバリエを拠点として、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を支えるイスラム教アラウィ派(Alawite)の村クマイリ(Qumayri)を襲撃し住民を殺害したことへの報復とみられるという。

 クラック・デ・シュバリエはかつて十字軍によって建造された要塞で、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されているが、内戦により甚大な被害を受けたとして前月、「危機遺産」に指定されている。(c)AFP