【6月15日 AFP】シリアで続く内戦で政権側が化学兵器を使用したとして、反体制派への軍事支援の強化を米政府が誓約したことについて、シリアの同盟国ロシアと国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は14日、軍事支援は内戦終結にはつながらないと批判した。

 またシリア政府当局者は、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が化学兵器を使用したとする米国の発表について、「うそだらけの声明」だと反論している。

 潘事務総長は、27か月にわたり内戦を続ける政権側と反体制派側のいずれに対する武器供与も「助けにはならない」と述べた。「どちらの側に対する武器供与も、現在の状況への対処にならないとの考えを、常に明確にしてきた。そのような軍事的解決はない」

 シリアに関する和平会議の開催に向け米国と協力してきたロシア政府もまた、米国の姿勢硬化に失望感を示した。露政府は、米国の化学兵器に関するデータは「説得力がない」と述べ、米国が故サダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領の大量破壊兵器保持という偽りの告発でイラクに進攻した過ちを繰り返さないよう、警告した。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、北アイルランド(Northern Ireland)で17日に開かれる主要8か国(G8)首脳会議に臨む予定。

 米政府は13日、情報機関からの報告を基に、アサド政権がサリンなどの化学兵器を使い最大150人の反体制派戦闘員を殺害したとの結論に達したと表明。米当局者らは、反体制派への武器供与やシリア上空での飛行禁止空域の設定の可能性を除外することを拒否したが、米政府が反体制派の組織「最高軍事評議会(Supreme Military Council)」に対する支援を決定したと述べている。(c)AFP