【6月3日 AFP】内戦状態にあるシリア・クサイル(Qusayr)の状況をめぐる国連安全保障理事会(United Nations Security Council)の決議草案にロシアが拒否権を行使した。複数の外交官らによって2日、明らかになった。

 英国が1日に提案した決議草案には、クサイルの町に取り残された市民に対する「深刻な懸念」があるとの一文が書かれていた。反体制派の拠点であるクサイルでは、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)の支援を受ける政府軍が約2週間前から攻勢を強めている。草案ではまた、国連機関を含む中立的な人道支援グループによる支援活動の即時開始と円滑な活動が必要としてシリア政府に協力を求めた。

 しかしある国連関係者によると、ロシア政府は、反体制派によりクサイルが掌握された際、国連安保理が行動に出なかったことを指摘しながら、今回も同様に対応すべきだと主張したという。

 シリアの外相は2日、政府軍によるクサイル攻撃が終了した後、赤十字(Red Cross)だけが人道支援のため同地に向かうことができると発表した。

 国連は1日、クサイル周辺では負傷者約1500人が支援を必要としているとして休戦を求めた。(c)AFP