【3月7日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)はこのほど、イスラエル軍の勾留制度の下で身柄を拘禁されているパレスチナ人の未成年が「広範囲にわたる計画的で制度化された」虐待を受けていると強く非難する報告書を発表した。

「イスラエル軍拘禁施設における子供たち」と題された22ページに及ぶ報告書の中でユニセフは、子供が軍事裁判で裁かれることが制度化されている国は世界でイスラエルだけだと批判。「残虐、非人間的、卑劣な扱いや懲罰」が行われていることを示す証拠を挙げ、38項目の改善を要求している。

 ユニセフによるとイスラエル軍は、過去10年間に12~17歳のパレスチナ人の未成年者7000人を逮捕、尋問、起訴した。大半は少年で、毎日平均2人が拘束されている割合だという。今年1月末の統計によれば、現在イスラエル軍に拘束されているパレスチナ人の子供は233人で、うち31人が16歳未満だ。

 児童保護に関するユニセフの地域アドバイザー、ジャンニコラス・ブーズ(Jean-Nicolas Beuze)氏は、「逮捕された子供が自動的に軍事法廷にかけられるのは、世界でイスラエルだけだ。その他の国でもみられるが、例外的なものだ。子供は民間人だ」と報道陣に語った。

■投石で逮捕、恐怖の尋問で自白強要 最高20年の実刑も

 パレスチナ人の子供たちが逮捕された最も多い理由は、投石だという。適用される最高刑は、12~13歳なら禁錮6月だが、14歳以上になると突然厳しくなり、最高で禁錮10~20年の判決を受ける可能性があると報告書は指摘している。

 さらに、拘束されている多くの子供たちは共通して、「大勢の武装した兵士に夜中にたたき起こされ、手を縛られ目隠しをされて尋問部屋に連行され、寝かせてもらえず、異常な恐怖状態に置かれる」といった扱いを経験しているという。中には、尋問に連行される際に身体的虐待を受けたり暴言を吐かれた事例や、痛みを伴うほどきつく拘束され、水や食料をほとんど与えられず、トイレに行くことも制限されたという報告もある。

 ユニセフによれば、尋問中に「弁護士や家族の立ち会い」があるという証拠も全く得られなかった。また、尋問の際に子供たちが「被疑者の権利について知らされることもめったにない」という。さらに「尋問は脅迫と身体的暴力が混ざったもので、子供に自白を強要するという明確な目的をもって行われている」と非難している。

 子供たちの多くは最後に「自白」し、自分では読むことのできないヘブライ語で書かれた証書に署名させられる。そして、軍事法廷においてはこうして「多くの場合、強要された」自白が、主たる証拠として扱われるという。

 報告書は、改善要求の中で「イスラエルの根拠ある安全保障上の懸念を考慮したとしても」、イスラエルが締約している『「子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)」に違反する扱い方を子供たちが決してされないよう』早急の措置をとる必要があると述べている。(c)AFP/Selim Saheb Ettaba