【1月4日 AFP】ミャンマー北部カチン(Kachin)州で政府軍と少数民族武装勢力との戦闘が激化するなか、ミャンマー政府に空爆を止めるよう求める国際社会の圧力が高まっている。戦闘はミャンマー政府による一連の政治改革にも影を落としている。

 政府軍とカチン族の政治組織カチン独立機構(Kachin Independence OrganisationKIO)の軍事部門、カチン独立軍(Kachin Independence ArmyKIA)との戦いは、数日前に政府軍が基地の1つを奪回して以来、激しさを増している。

 ミャンマー軍が所有するビルマ語のニュースサイト「ミヤワディ(Myawaddy)」は、政府軍が「空爆による支援を受けて」主要な基地1か所を12月30日に武装勢力から奪回したと伝えた。テイン・セイン(Thein Sein)大統領の顧問も務める政府の和平交渉官は、作戦にはヘリコプターと「ジェット訓練機」が使われたとみられると語った。

 
■民政移管後も続く少数民族との戦闘

 ミャンマーは1948年に英国からの独立を達成した後も、国内各地で内戦が絶えることがなかった。政府とKIAとの間で17年間続いた停戦協定が2011年6月に破綻して以来、カチン州では数万人の住民が避難を余儀なくされている。

 2011年に少なくとも名目上は軍事政権からの民政移管を遂げたミャンマー政府は、カチン以外の民族の武装勢力の多くとは暫定的な停戦協定を結んだ。カチンとも何度か停戦交渉を重ねたが具体的な進展は得られなかった。

 KIO側は、かねてから要求している政治的権利の拡大についての問題を無視したまま、停戦と軍の撤退に基づいてのみ交渉を推し進めようとしているとして政府を非難している。

 カチン州での戦闘に加え、西部ラカイン(Rakhine)州では仏教系住民とイスラム教徒のロヒンギャ(Rohingya)人との衝突が激化しており、数十年におよんだ軍支配が終わったと称賛された劇的な2011年の民政移管に影を落としている。

 軍政時代に政権幹部だったテイン・セイン大統領が1年前に少数民族武装勢力への攻撃を止めるよう軍に指示したにもかかわらず戦闘が依然として続いていることから、政府は軍を統率できているのかという疑念も持ち上がっている。(c)AFP/Hla Hla Htay