【10月30日 AFP】シリアの首都ダマスカス(Damascus)では29日、政府軍がこれまでで最も激しい空爆を加え、自動車爆弾による死者も出るなど、戦闘が続いた。シリア問題をめぐる国連(UN)とアラブ連盟(Arab League)のラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)合同特別代表が提案した停戦は失敗に終わった。

 ブラヒミ合同特別代表はシリア政府と反体制派に対し、26日から29日までのイスラム教犠牲祭「イード・アル・アドハ(Eid al-Adha)」に合わせた一時停戦を提案したが、履行されずに終わった。ブラヒミ氏は訪問先のモスクワ(Moscow)でロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相との会談後、「シリア情勢は非常に危険だと繰り返し述べてきたが、現在の状況はひどく、一段と悪化している」と語った。 ブラヒミ氏は30~31日に中国を訪問する。

 AFPのシリア特派員は、ダマスカスの中心から離れた複数の地区から空爆の爆音が聞こえ、ダマスカス中心部の建物の窓がガタガタと音と立てて振動したと説明し、同国で騒乱が始まって1年7か月経つが、ダマスカスではこれまでで最も激しい空爆の1つだったと話した。

 また国営テレビは、キリスト教徒とイスラム教ドルーズ(Druze)派が多く居住するダマスカス近郊のジャラマナ(Jaramana)地区で、自動車爆弾が爆発し少なくとも10人が死亡したと報じた。ある監視団体はこの爆発による死者を12人、負傷者を15人としている。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によれば、政府軍は犠牲祭最終日の29日、全土で少なくとも48回の空爆を実施した。AFPの取材に応じた同監視団のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表は「夏に初めて戦闘機が配備されて以降、最も激しい空爆が行われた」と話した。同監視団によれば、29日は35人が死亡し、犠牲祭中の死者は400人を超えた。 (c)AFP