【9月25日 AFP】シリア問題をめぐる国連(UN)とアラブ連盟(Arab League)のラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)合同特別代表は24日、国連安全保障理事会(UN Security Council)の非公開会合で、シリアで続いている戦闘を速やかに終わらせる手段は無いと述べ、「古い」体制に固執して改革を拒んでいるとしてバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を批判した。

 ブラヒミ特別代表は、これまでにアサド大統領などとの会談で「変革」の必要性を訴えたが解決策は見出されておらず、状況は行き詰まっていることを認めた。ブラヒミ氏によれば、現在3万人以上が勾留施設または「収容者への虐待や中世式の拷問がごく日常的に行われ、人々から恐れられている『秘密』の収容施設」に入れられており、「厳しい拷問」で1000人以上が死亡したという。

 さらに同氏は自宅からの避難を余儀なくされた150万人以上のシリア国民と、レバノン、ヨルダン、トルコ、イラクに逃れた28万人以上の難民に対する人道支援が難航していることも改めて強調した。戦闘によって農産物の収穫が大打撃を受け食糧不足が深刻化し、医療品もほとんど手に入らず、「治安要員」を恐れて人々は病院にも寄り付かないという。

 ブラヒミ特別代表はシリア国内で外国人戦闘員が活動しているのは事実だとしつつ、その規模をシリア政府は5000人としているが、2000人未満という推計もあると述べた。また、反体制派の各グループは団結して政府との交渉に必要な基盤を作る必要があると指摘し、シリア問題をめぐって分裂している安保理には結束して特別代表の仲介を支援するよう求めた。

 シリア問題は25日に始まる国連総会の主要議題となる予定で、同国北部の都市アレッポ(Aleppo)などでの激しい戦闘やアサド政権に対する非難決議が米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領主導で採択されるとみられている。(c)AFP/Timothy Witcher