【6月18日 AFP】シリア政府軍は17日、反体制派の拠点ホムス(Homs)で攻勢を強めた。反体制派は、同国に派遣されている国連(UN)の停戦監視団が暴力激化を理由に活動を中断したことを受け、武装した平和維持部隊の派遣を要求している。

 英国に拠点を置く人権団体、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、17日は戦闘などで少なくとも11人が死亡し、前日と合わせた死者数はシリア全土で80人に上った。ホムス近郊の旧市街、ハリディエ(Khalidiyeh)では「数日前から侵攻を試みている政府軍から砲撃を受けて民間人1人が死亡した」という。

 ハリディエからインターネット電話スカイプ(Skype)でAFPの取材に応じた活動家アブ・ビラル(Abu Bilal)氏は、複数の地区で政府軍が行っている攻撃について「息が詰まりそうだ」と形容し、「われわれは四六時中、砲撃を受けている。食料と水はほとんど残っておらず、薬もなくなりかけている」と語った。

 またビラル氏は政府軍が侵入してくれば、軍に包囲されている地区から出られずにいる人たちは「虐殺されるだろう」と述べた。反体制派や人権団体も同様の懸念を示している。

 ホムスのジューラトゥ・シーア(Jourat al-Shiah)地区にいる反体制活動家らがネットに投稿した動画には、広範囲に行われた破壊や人けのない通り、砲撃されて出火した建物などが写っていた。2人の子供を抱える女性はカメラに向かって「子どもに与えるミルクもない。水も電気もない。せめて子どもたちをここから脱出させたい」と訴えた。シリア人権監視団の16日の発表によると、1000世帯以上がホムスから出られない状態になっており、医療スタッフや機器類も不足している。

 シリア国外で活動している反体制派組織、シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)は、国連安全保障理事会(UN Security Council)に国連憲章第7章に基づいて監視団の武装を認める決議を採択するよう要求した。SNCは「政府が国民に最悪の罪を犯しているこの時期に、暴力の激化という理由で国連監視団が活動中断を決めたことに驚いている」との声明を発表した。(c)AFP

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