【1月30日 AFP】スーダンの南コルドファン(South Kordofan)州で、中国国有建設企業の中国人作業員29人が「スーダン人民解放運動(Sudan People's Liberation MovementSPLM)」系の武装勢力に連れ去られた。

 スーダン人民解放運動・北部(SPLM-N)のアルヌ・ヌグトゥル・ロディ(Arnu Ngutulu Lodi)報道官は29日、AFPに対し、中国人29人に加えてスーダン軍(Sudan Armed ForcesSAF)の兵士9人も拘束したと述べたが、全員が安全な場所にいると強調した。

 中国の国営新華社(Xinhua)通信も、スーダン国内にあった中国企業のキャンプが28日に武装勢力の襲撃を受け、複数の中国人が行方不明になっていることを中国政府が確認したと報じた。この企業の幹部が新華社に語ったところによると、武装勢力に襲撃された後、道路建設作業に従事していた中国人20人以上の行方が分からなくなっているという。

 スーダンの主要な貿易相手国である中国は、スーダンにとって最大の石油輸出先で、スーダン政府軍への主要な武器供給国でもある。

 スーダンでは数十年に及んだ内戦を経て、南部が前年7月に南スーダンとして分離独立を果たした。だがスーダン南部の南コルドファン州や青ナイル(Blue Nile)州では前年9月にも、今回と似た政府軍と武装勢力との戦闘が起きるなど治安が悪い状態が続いており、国際的な懸念材料になっている。

 スーダン政府は、現在の南スーダンを統治しているかつての武装勢力と関係のあった少数民族勢力との戦闘を続けている。これらの勢力に援助関係者が国連(UN)の航空便を使って武器弾薬を運んでいるとして、スーダン政府は戦闘地帯における外国の援助団体の活動を厳しく制限しているが、米国のスーザン・ライス(Susan Rice)国連大使は、3月までに南コルドファン州や青ナイル州に援助物資を届けられなければ、深刻な食料不足に陥ると警告している。(c)AFP/Ian Timberlake