【1月11日 AFP】反政府デモへの弾圧を続けるシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が10日、首都ダマスカス(Damascus)で演説し、外国の陰謀勢力がデモを支持していると非難した。シリアでは10か月にわたり激しい反政府デモが続いており、同大統領は「テロリズム」は鉄拳で制裁すると強調した。

 演説の中で、大統領は治安部隊に市民に対する発砲を命じたことはないと述べた。治安の回復を最優先し、「人びとが支持するからこそ私は大統領の職にある」と述べ、独裁政権との反対勢力の批判を否定した。

 大統領によると、昨年10月に設立した委員会が、与党バース(Baath)党の一党支配を定めた現憲法の改正案作成に取り組んでおり、3月にも国民投票が行われる見通しという。

 一方、反体制派の共同戦線「シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)」は、演説内容は内戦を勃発させかねないと反発。反政府団体「地域調整委員会」(Local Coordination CommitteesLCC)は、諸外国にアサド政権の孤立化を呼びかけている。

■監視団活動開始後の死者は400人

 大統領の演説は、国連安全保障理事会(UN Security Council)でシリアに関する会議が始まる数時間前に行われた。国連のリン・パスコー(Lynn Pascoe)政治局事務次長は同会議で、アラブ連盟の監視団が活動を開始してから400人が死亡したと報告した。
 
 米国のスーザン・ライス(Susan Rice)国連大使は、監視団の活動前よりも弾圧による1日の死者数は増加しているとして、シリアに対する非難決議案を採択するよう改めて15か国に要請した。(c)AFP