【12月29日 AFP】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)皮山(Pishan )県で28日夜、2人が人質にとられ、犯人グループのうち警官隊に撃たれた7人が死亡した。人質の2人は救出された。同自治区政府が29日、マイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」で明らかにした。

 同自治区政府によると、警官隊とにらみ合いになった犯人グループが警察官1人を殺害し、警官数人を負傷させたため、警官隊は発砲した。容疑者のうち7人が死亡し、さらに4人が負傷して逮捕されたという。自治区政府は人質の2人は救出されたとしているが詳しい情報は明らかにしておらず、犯行グループがウイグル人だったかについても触れていない。

 一方、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議(World Uighur Congress)」の広報担当者は、この事件は警察の取り締まりや宗教的抑圧に不満を募らせていた地元のウイグル人が抗議のために行ったもので、7人のウイグル人が「公衆の面前で」射殺され、3人が重傷、4人が軽傷を負ったと述べた。また当局は29日に関係者の携帯電話の押収に踏み切ったという。

 AFPは当局に取材を試みたが、皮山県と新疆ウイグル自治区の政府は取材を拒否し、末端の行政区画の政府には連絡が付かなかった。

 資源が豊かで8つの国と境を接する新疆ウイグル自治区では散発的に死傷者が出る事件が起きている。その多くを中国政府は「三大勢力」(過激主義、分離主義、テロリズム)によるものだとしている。7月には3件の事件が相次いで発生し、数十人が犠牲になった。

 しかし専門家の中には、穏健なイスラム教を実践するウイグル人が暮らすこの地域で、本当にテロ組織の細胞組織が活動しているのか疑問を投げかける人もいる。専門家は、ウイグル人の間にたまった不満が暴力の原因になっていると指摘する。ウイグル人の多くは、宗教的・政治的に抑圧されているとして当局を批判するとともに、新疆への漢族の流入を腹立たしく思っている。(c)AFP