【10月4日 AFP】リビアの反カダフィ派の部隊が3日、シルト(Sirte)に近いカスラブハーディ(Qasr Abu Hadi)からカダフィ派閥を一掃したと、シルト郊外の野戦病院の医師が語った。カスラブハーディは同国最高指導者だったムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の出生地とされる場所で、42年間続いたカダフィ大佐の統治を一掃する戦いは象徴的な勝利を収めた。

 カダフィ大佐は1942年、当時は砂漠の小さな村に過ぎなかったカスラブハーディの遊牧民のテントで生まれたとされている。カスラブハーディはカダフィ体制下で繁栄し、その周囲には塀で守られた大豪邸が点在している。

 カスラブハーディの住民たちは避難したため、その大半は空き家になっていた。だが一部の住宅では、反カダフィ勢力の連合体「国民評議会(National Transitional CouncilNTC)」部隊の報復を恐れた多数の家族が身を寄せ合って暮らしていた。

 住民の大半はAFPの取材を拒否し、取材に応じた者も恐怖をあらわにしていた。ある男性は「集中砲火に見舞われた。カダフィ大佐派の戦闘員が私たちの農場に隠れ、反体制派が反対側から砲撃を加えた」と語った。

 別の男性は、「2日前、ロケット弾が直撃し、隣の家の5人が死んだ。誰が撃ったのかはわからない」と語った。この男性によると、大きな邸宅におよそ30家族が隠れ住んでいるという。AFPは邸宅に入っての取材は拒否された。「みんな恐れている。子どももたくさんいる。ミルクも食料もない。私もパンとお茶しかあげられない」とこの男性は語った。

 国民評議会側の複数の戦闘員は、一部の邸宅はカダフィ派の武器庫として使われていたと語った。

 カダフィ派はシルトで激しい抵抗を続けている。3日に執行部の一部変更を発表した国民評議会は、暫定政権の樹立はシルト制圧後になると発表した。(c)AFP/Jay Deshmukh