【9月1日 AFP】反体制派デモが続くシリアで、前月30日に終わったイスラム教のラマダン(断食月)の1か月で473人が死亡したと、英国に本部を置く人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が発表した。

 死者のうち360人が市民で、113人が治安部隊要員だという。市民の死者では25人が18歳未満、14人が女性で、28人は拘束中または拷問によって死亡したという。また、死者は中部ホムス(Homs)に集中していると報告している。

 また、シリア国内ではラマダン明けを祝う「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」連休中の31日にも、治安部隊が各地で戦車による反体制派への弾圧を展開。8月初めに当局に拘束されていた13人が遺体で家族の元に戻されたフレ(Houle)では、新たに16人が拘束された。

 シリア各地の反体制運動をまとめる国内組織「Local Coordination Committees」によれば、治安部隊はフレの民家2件に放火し、投降しなければ妻子を拘束すると家主の男性を脅した。また、アクラブ(Aqrab)でも治安部隊が民家に火をつけ、手当たり次第に反体制派の捜索や拘束を始めて住民を恐怖に陥れているという。ハマ(Hama)県でも各地で治安部隊が戦車を展開し、大規模な反体制派の弾圧を行っているという。

 シリアでは3月半ば以降、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権への抗議デモが日常化しており、国連(UN)の試算によると、これまでに当局の弾圧で少なくとも2200人が死亡したとみられる。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)も、4月1日~8月15日に13~18歳の未成年を含む88人が拘束中に死亡したとの報告を発表。死者のうち、少なくとも52人に殴打ややけどの痕、切り傷などが認められ「拷問が死因だった証拠だ」としている。死後または生前に「残忍な方法」で切断された遺体もあったが、これは遺族への脅しを意図したものとみられる。

 報告を受け、米国は「おぞましい虐待」を拘束者に加えているとしてシリアのアサド政権を非難した。(c)AFP