【5月20日 AFP】ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は19日、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の妻と娘がリビアを離れ、隣国チュニジアに逃れたと述べた。リビア政府はこの情報を否定している。

 クリントン長官は、米CBSテレビのインタビューで、国際社会によるカダフィ政権への圧力は「遅々として見えても、確実に進展している」と指摘。「圧力は高まっており、過去2日間にはカダフィの妻と娘が国境を越えてチュニジアに逃亡したほどだ」「石油相も亡命した」などと述べた。

 メディアなどではここ数日、カダフィ大佐の妻と娘ら一族がチュニジアに逃れたとのうわさが飛び交っていた。

 また、カダフィ大佐の腹心でリビア国営石油会社(Libyan National Oil Corporation)総裁を兼務するショクリ・ガネム(Shukri Ghanem)石油相は、チュニジアで開かれる石油輸出国機構(Organisation of Petroleum Exporting CountriesOPEC)の会合に出席するため出国した後、所在がわからなくなっている。もし亡命を図ったとすれば、リビアでの紛争勃発後では最重要人物が政権を見捨てたことになる。

 こうしたなか、チュニジア当局は19日、カダフィ一族がチュニジア入りしたとのうわさを否定していた。一方、ガネム石油相の入国は認めた。

■リビア政府は全面否定

 カダフィ政権のムーサ・イブラヒム(Mussa Ibrahim)報道官は19日夜の記者会見で、カダフィ大佐の妻も娘の出国、ガネム石油相の亡命の両方について、全面的に否定している。

 イブラヒム報道官は記者会見で、カダフィ大佐の妻と娘について、「健康でトリポリ(Tripoli)にいる。わが国を離れてはいない」とコメント。また、ガネム石油相についても、欧州歴訪に引き続き国務でチュニジアを訪問中で、その後はエジプトを訪れる予定だと説明した。(c)AFP